Amazonは2023年、新たに100件以上の太陽光および風力発電プロジェクトに投資し、4年連続で企業として世界で最も多くの再生可能エネルギーを購入しました。Amazonの投資には、同社初のブラウンフィールドプロジェクト(米国メリーランド州にある汚染された炭鉱跡地をソーラーファームとして再利用するというもの)や、韓国におけるAmazon初の再生可能エネルギープロジェクトなどが含まれます。
Amazonの風力および太陽光発電プロジェクトは現在、世界中で500件を超えています。これらが稼動すると、毎年7万7,000ギガワット時(GWh)以上のクリーンエネルギーの発電が可能になる見込みです。これは、米国の720万世帯に電力を供給するのに十分な量です。
BloombergNEFおよび公開情報によると、2020年以降、Amazonは他のどの企業よりも多くの再生可能エネルギーを購入してきました。これらのプロジェクトによって、2025年までに事業の運営に必要な電力のすべてを再生可能エネルギーで賄うことにより一歩近づきます。これらのプロジェクトは、すでにアマゾン ウェブ サービス(AWS)のデータセンター、Amazonのフルフィルメントセンター(物流拠点)、Amazonの実店舗やオフィスの電力供給に役立てられているほか、再生可能エネルギープロジェクトが所在する地域社会に新しいクリーン電力源を提供しています。
またAmazonが開発した新しい経済モデルによると、Amazonのソーラーファームとウィンドファームは、2014年から2022年にかけて全世界で約120億ドル以上の経済投資を生み出すのに貢献し、2022年だけでフルタイムでの労働時間に換算して3万9,000の雇用を支えました。
AWSのCEOであるアダム・セリプスキー(Adam Selipsky)は、次のように話しました。
「Amazonの太陽光および風力発電プロジェクトへの投資は、当社の事業に電力を供給するだけでなく、送電網に新たなクリーンエネルギー源を提供し、経済成長を促し、私たちのお客様が生活し仕事をする地域社会での雇用を支えています。昨年、私たちは事業で使用する電力の90%以上を再生可能エネルギーで賄いましたが、これで終わりではありません。引き続きさまざまな新しいプロジェクトを稼働させ、送電網の制約に対処し、気候変動の影響を緩和するために政策立案者と協力して革新的な方法を探ることに注力していきます。これらによって、私たちは2025年までに100%再生可能エネルギーで事業を運営することにまた一歩近づきます」
BloombergNEFのサステナビリティリサーチヘッドであるカイル・ハリソン(Kyle Harrison)氏は、次のように語りました。
「再生可能エネルギーへの投資により、Amazonは新しい太陽光および風力発電プロジェクトを急速なペースで市場に投入し、同分野のグローバルリーダーとしての地位を揺るぎないものにしています。昨年は、サプライチェーンやインフラ面での課題、価格の高騰などのさまざまな問題にもかかわらず、Amazonは再生可能エネルギーにコミットし続けました。これは、クリーンエネルギーの未来に向けた社会への以降を加速させるため、1企業がどのように貢献できるのかを示しています」
これまでにAmazonは、再生可能エネルギープロジェクトを世界27か国および米国20州にまで拡大しており、今年に入ってからアーカンソー、ジョージア、メリーランド、ミシガン、ミシシッピー、ミズーリ、オハイオ、オクラホマ、バージニアのほか、カナダ、ギリシャ、韓国で新規プロジェクトを立ち上げました。その中から、Amazonが取り組むいくつかのプロジェクトをご紹介します。
炭鉱跡地をブラウンフィールドからソーラーファームに転換
Amazonは先日、産業汚染のために使われなくなった産業用地(ブラウンフィールド)を利用したAmazonとして初の再生可能エネルギープロジェクトを発表しました。Amazon Solar Farm Maryland–CPV Backboneは、米国メリーランド州ギャレット郡にある閉鎖後間もないアーチ炭鉱の跡地に建設されています。120年の歴史を持つこの炭鉱は、以前は45エーカー(約18万2,000平方メートル)以上の石炭廃棄物で汚染されていましたが、現在は埋め立てが完了しています。
米国環境保護庁(EPA)の推計によれば 、米国には45万か所以上のブラウンフィールドが存在しており、これは太陽光発電プロジェクトにとって新たなチャンスとなっています。使われなくなった工場、鉱山、埋立地などのブラウンフィールドは、送電線や公道の近くにあることが多いため、プロジェクトと送電網をつなげ、使われていない土地を地域社会の経済的機会に変えることが容易です。
米国エネルギー情報局と米国の地域送電機関であるPJMが公開しているデータによると、CPV Backboneプロジェクトは、完成すればメリーランド州最大のソーラーファームになると見込まれ、30万枚以上のソーラーパネルが設置される予定です。また、デベロッパーであるCompetitive Power Ventures(CPV)によれば、建設のピーク時には200人以上の熟練労働者を雇用し、数百万ドルの地方税収を生み出すほか、年間13万3,000トン以上のCO2の削減(2万6,000台以上自動車を減らすのに相当)に貢献すると見込まれます。
新しい風力発電プロジェクトによりブラジルで1,000人の雇用を創出
ブラジルのセリド風力発電施設内での新しいウィンドファームの建設時には、約1,000人の雇用が創出されました。デベロッパーによれば、これらの雇用の半数近くがリオ・グランデ・ド・ノルテ地方の労働者で占められていました。デベロッパーのElera Renováveisは、ドローンを使用し、ウィンドファームの架空送電線ケーブルを設置しました。風力タービンの直径は150メートルで、サッカーコート1.5面分ほどの長さがあります。これは、Amazonがブラジルで実施した2件目の再生可能エネルギープロジェクトです。
アジア太平洋地域でのクリーンエネルギーの急拡大
Amazonは今年に入って、アジア太平洋地域で新たに十数件のクリーンエネルギープロジェクトを立ち上げました。Amazon初となる、韓国での再生可能エネルギープロジェクトを発表しました。デベロッパーの推計によると、同プロジェクトにより建設時に約2,400人の雇用が生まれる見込みです。
Amazonは昨年、インドでのクリーンエネルギーへの投資を加速させ、2022年9月以降、オスマナバードの198メガワット(MW)のウィンドファームを含む7件の大規模再生可能エネルギープロジェクトを発表しました。また、インド国内のAmazon施設の屋上にソーラーパネルを設置する数十件のプロジェクトにも投資しました。BloombergNEFおよび公開情報によると、これによりAmazonはインドで最も多く自然エネルギーを購入した企業となり、インド全土でこれまでに購入したクリーンエネルギーの発電能力は合計で1.1ギガワット(GW)に上ります。
Amazonは中国において、Amazon Wind Farm China–Daqing(2023年3月に操業開始)と、Amazon Wind Farm China–Bobaiという2つの新しいウィンドファームの建設を発表しました。さらには、オーストラリア、日本、ニュージーランドでも新規の太陽光発電プロジェクトに投資しました。
テキサス州における再生可能エネルギー容量が4GWを突破
Amazonは米国テキサス州で大規模プロジェクト11件に投資しています。これにはAmazonの太陽光発電プロジェクトにおいて世界で3番目に大きなAmazon Solar Farm Texas–Outpost(テキサス州ウェブ郡にある500MWのソーラーファーム)が含まれます。またAmazonは、テキサス州で新しいウィンドファーム1か所と、さらに別のソーラーファーム8か所にも投資しています。Amazonは現在、州内で20件以上の再生可能エネルギープロジェクトを展開しており、これらが稼動すれば、テキサス州の80万以上の世帯に電力を供給するのに十分な量のクリーンエネルギーが生み出されるようになると見込まれます。80万世帯というのは、テキサス州のフォートワースとオースティンの2都市を合わせた世帯数よりも多い数です。
さらには先日、テキサス州ハンスフォード郡において、Amazonの再生可能エネルギープロジェクトで最大となるAmazon Wind Farm Texas–Great Prairieが操業を開始しました。同プロジェクトは350基以上の風力タービンを備え、総発電能力は1,000MWを超えます。デベロッパーのNextEraによれば、同プロジェクトにより、今後30年間で7,000万ドルの税収の増加が見込まれます。
化石燃料に依存した送電網にクリーンエネルギープロジェクトを導入
送電網が今なお化石燃料に大きく依存している地域で、Amazonの太陽光および風力発電プロジェクトが始動するケースが増えています。これは、Amazonの再生可能エネルギープロジェクトによる地域の発電部門への影響が、より一層大きくなっていることを意味します。
たとえば、最近Amazonは、ギリシャにおける自社初となる大規模再生可能エネルギープロジェクトを発表しました。ギリシャでは、ほとんどの電力を、二酸化炭素を多く排出する石炭・石油から調達しています。Amazonのソーラープロジェクトが立ち上がれば、同地域で毎年1万6,000トン以上の炭素排出を回避できるようになると見込まれます。これは、スウェーデンのような、すでに多くのクリーンエネルギー源から電力を調達している国で同じプロジェクトを実施した場合と比べて、約6倍の二酸化炭素の排出を回避できる計算です。
Amazonは先日、送電網の速やかな脱炭素化を支援する広範な取り組みの一環として、電力部門の温室効果ガス会計基準の近代化に取り組む、企業連合Emissions First Partnershipの共同設立に協力しました。この企業連合は、発電システムの速やかな脱炭素化に貢献可能な市場における再生可能エネルギープロジェクトに投資するよう、企業に呼びかけるものであり、気候変動に対処するための重要な1歩となります。
Amazonの再生可能エネルギーへの投資は、パリ協定の目標よりも10年早い、2040年までにネット・ゼロ・カーボンを達成することを約束するThe Climate Pledge(クライメート・プレッジ)の一環として行われるものです。
Amazonの再生可能エネルギープロジェクトおよびThe Climate Pledgeの詳細については、各リンクをご参照ください(英語)
※この記事は2024年1月17日に米国版About Amazonで発表された記事を日本語に翻訳したものです。原文と日本語訳に相違がある場合は、原文の内容が優先します。