創造力や思考力、判断力などを育むための教育として社会に浸透している知育玩具の分野では、どのようなDXが進んでいるでしょうか? 今回は、Amazonのサービスを活用したDXに取り組み、知育玩具を販売する2社の中小企業を紹介します。
独自のデザインや形状の木製玩具を制作し、Amazonで販売
長野県にある自然豊かな山の中腹に工房を構え、40年にわたって木製玩具を作り続けているおもちゃ製作所・銀河工房。数々の賞に輝いた独創的な玩具を、工房の脇にある店舗やAmazonで販売しています。代表を務める小林茂さんは、もともとは木工品のデザイナーだったと言います。
小林さん「生まれたばかりの娘のために色々な玩具を買っているうちに、自分でも作れるかもしれないと思ったのが玩具づくりを始めたきっかけです。すると、どんどん玩具のアイデアがわいてきて、1982年に個人事業主として開業し、玩具職人に転身しました」
同社の玩具は動物のパズルをはじめ、組み立てる、回す、ねじるといった動作を促し、子どもたちの知育を支えています。
小林さん「最近では雑巾を絞れない子どももいるそうですが、私たちが作る玩具はそうした動作を身につけることにも役立つように設計しています。店舗には親子2代で何十年も通ってくださるお客様もいて、すくすくと育っていくお子様を見ることが一番の喜びですね。玩具を通じて創造性や思考力を育み、生きる力や平和な社会の役に立ちたい。そう思いながら玩具づくりに励んでいます」
FBAによる業務効率化のおかげで創作に専念することができた
Amazonには2015年頃から出品を開始。「Amazonは多くのお客様が利用されており、その集客力は目を見張るものがあります」と小林さんは言います。
小林さん「それに加えて、Amazonが商品の保管、注文処理、梱包、配送、さらには注文や商品に関するカスタマーサービスを代行するフルフィルメント by Amazon(FBA)が非常に便利です。事業拡大に伴い、玩具の作り手を6人雇っていますが、FBAを使うことで、発送作業の時間が削減できています。その分も創作に専念できるので、FBAは私たちにとって欠かせないサービスになっています」
さらに、Amazonブランド登録に登録し、ストア機能でブランドページを作成するなど、ブランドの認知拡大や販売促進においてもAmazonのサービスを活用しています。
小林さん「ブランドページには実店舗の写真なども載せられるので、ブランドの世界観を伝えることに役立っています。また、商品をカテゴリーに分けて、商品ページには玩具の使い方の動画を載せています。お客様が商品を探しやすいこと、商品の特徴を理解しやすいことは、お客様が商品を購入されるうえで大きなメリットだと思います」
また、Amazonのスポンサープロダクト広告も活用していると言います。
小林さん「クリック数などを表示するデータもわかりやすく、費用対効果がすぐに把握できます。お客様が広告をクリックした場合にのみ費用が発生するという、明朗な仕組みも気に入っています」
Amazonのカスタマーレビューが創作の励みに
Amazonのカスタマーレビューは、創作の励みやアイデアの源になると小林さんは続けます。
小林さん「お孫さんにプレゼントして喜ばれたというお客様の声は励みになりますし、Amazonのカスタマーレビューをもとに商品を改良することもあります。デイサービス(通所介護)で使っているというカスタマーレビューを読んだときもうれしかったですね。手先を使う玩具は脳を活性化しますから、何歳になっても玩具で遊んでほしいという私たちの願いが叶っています」
近年は事業承継の問題に直面していましたが、「ようやく後継者候補が見つかって、胸をなでおろしているところです」と小林さんは笑みを浮かべます。
小林さん「自分も高齢になったので、次の世代にバトンをつないでいきたいと考えています。もっと多くの人に玩具の魅力を伝えられるよう、若い世代の人たちと手を携えていきたいですね」
子どもたちの知育を支える玩具ブランドをAmazonで展開
兵庫県にあるエデュテ株式会社は、オリジナル玩具ブランド「エデュテ」を展開し、Amazonで商品を販売しています。代表取締役の中尾信也さんは、2003年に創業した経緯を「私自身の2つの経験が深く関係しています」と語ります。
中尾さん「1つは、アメリカの大学に通っている頃に目の当たりにした貧富の差です。多くの国が抱えるこの社会課題の根源を考えたときに、教育格差をなくすことが課題解決につながるのではないかと考えました。もう1つは子育てです。子育てには大変だというイメージがありますが、実際に体験してみると、子どもからたくさんの感動をもらいます。こうした経験から、子育てや教育を通じて社会に貢献する会社を作ろうと決意しました」
創業当時は0歳児教育が現在ほど浸透しておらず、お客様に新たな価値観を提案するところから事業を始めたと振り返ります。
中尾さん「0~3歳は脳の形成に大切な時期ですが、一方で、未就学児向けの教育は情報が乏しく、社会的に認知されていませんでした。そこで、遊びながら指先の発達を促し、創造性や思考力を育む玩具を通じて、子どもたちの知育を支えることをミッションに定めました」
店頭よりも商品が探しやすいブランドページはメリットが大きい
当初はベビー用品などを扱うチェーン店や玩具店に商品を卸販売していましたが、2008年頃からEC(電子商取引)を開始し、2018年からAmazonでの販売を始めたと言います。
中尾さん「例えば、祖父母が離れて暮らすお孫さんにプレゼントを贈る。こうしたお客様の購買行動を想定したとき、当社の商品とAmazonはすごく相性が良いと分析しています」
その根拠には、同社が利用しているAmazonブランド登録やストア機能、フルフィルメント by Amazon (FBA)など、Amazonのさまざまなサービスがあると言います。
中尾さん「Amazonのブランドページでは商品を年齢別などで分類できますし、詳しい商品説明も掲載できるので、プレゼントなどを探しているお客様が商品を選びやすいというメリットがあります。また、注文が大量に入っても、FBAを使えばAmazonが発送業務をすべて代行してくれます。土日、祝日の発送にも対応できるので、お客様のもとへ迅速に、確実に商品をお届けすることを実現しています」
Amazonのマーケットプレイス コンサルティングサービスも利用していると言います。
中尾さん「Amazonのコンサルタントが業界のトレンドを教えてくれるので、商品開発に役立っています。また、アドバイスをもとにスポンサープロダクト広告を運用したところ、売上拡大につながりました。Amazonのさまざまなサービスのおかげで、子どもたちの笑顔のために行動するという企業理念を実践することができています」
Amazonグローバルセリングで日本のものづくりを盛り上げたい
同社は現在、日本にいながら海外のAmazonに出品できるAmazonグローバルセリングを活用し、アメリカのAmazon.comで商品を販売しています。
中尾さん「少子高齢化といった社会課題に対応するためには、海外に目を向け、販路を拡大することがますます重要になってくると思います。今後はものづくり補助金を活用して、自社商品に限らず、日本の優れた商品を海外のAmazonで販売するお手伝いができたらと考えています。そうすることで、販路に課題を抱える中小企業や日本のものづくりを盛り上げていきたいですね」
おもちゃ製作所・銀河工房とエデュテ株式会社は、Amazonのサービスを活用することで、お客様が商品を見つけやすいブランドページを作り、確実に商品をお届けすることを実現しています。こうしたDXの取り組みは、玩具を通じて創造性や思考力を育むという両社の使命を後押ししていくことでしょう。
フルフィルメント by Amazon(FBA)とは?
Amazonの配送ネットワークを使い、販売事業者様のビジネスの成長を支援するサービスです。商品の保管、注文処理、梱包、配送、カスタマーサービス、返品対応をAmazonが代行します。FBAを利用すると商品がプライム対象となり、お急ぎ便、当日お急ぎ便など、Amazonプライム会員のお客様が無料で利用できる配送特典の対象となります。
本連載について
Amazonでの販売を支援する「Amazon出品サービス」、ビジネス上の購買をサポートする法人向けサービス「Amazon ビジネス」、決済サービス「Amazon Pay」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonはさまざまな企業の課題を解決する多様な選択肢を提供しています。本連載では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組む中小企業と、そのDXをさまざまなカタチで支援するAmazonのストーリーをご紹介します。