多くの中小企業がDXによるイノベーションに取り組む中で、自社の歴史を継承したうえでDXに挑む老舗企業が増えています。今回は、茶業と皮革製品の製造業に携わる老舗企業のDXを取り上げ、両社のDXを進化させたAmazonの決済サービスにフォーカスします。
自社農園の出雲抹茶を使用したスイーツをAmazonで販売
島根県出雲市にある株式会社桃翠園は、1907年の創業以来、日本茶の生産・加工・販売を手がけています。2021年に代表取締役会長に就任した岡大樹さんは、同社のターニングポイントをこう語ります。
岡さん「出雲は江戸時代からお茶文化が盛んで、全国的に見ても抹茶の消費量が多い土地です。一方で、抹茶は煎茶よりも生産・加工に手間がかかるため、京都の宇治抹茶など県外のものが出雲でも流通していました。そこで2006年、100周年の記念事業として自社農園を拡張し、出雲産の茶葉を使った抹茶づくりに挑んだのです」
中国・四国地方では前例がなかったという抹茶づくりへの挑戦には、同社が脈々と受け継いできたチャレンジ精神が存在します。
岡さん「2015年に5代目として代表取締役社長に就任したとき、先代の父から『若い力で桃翠園に新しい風を吹かせてほしい』とバトンを譲り受けました。現在の取締役社長である弟は、数年前から欧米やアジア圏といった海外への卸販売に挑み、大きな成果をあげています。当社の主な販路は国内外の茶葉販売店、飲食店などへの卸販売ですが、2018年から自社ECとAmazonで茶葉の販売を始めたことも、長い歴史の上ではチャレンジングな出来事でした」
お客様の満足度向上のために、Amazon Pay(アマゾンペイ)の決済は欠かせない
ECを始めた理由は、「出雲抹茶の知名度はまだまだ低い。もっと多くの人に出雲抹茶を広めたい」という岡さんの想いを実現するため。さらに、普段お茶を飲まない若い人にも出雲抹茶を味わってほしいと考え、出雲抹茶を使ったスイーツの開発に挑みました。
岡さん「出雲抹茶は程よい甘みがあり、淹れた際の鮮やかな緑色が特徴なので、見た目が美しいスイーツづくりに最適でした。当社のスイーツを大切な人への贈り物にされるお客様も多く、Amazonでも多くのお客様にギフト包装オプションをご利用いただいています。コロナ禍を経て、家族や恋人など、離れて暮らす大切な人にAmazonを通じてギフトを贈ることが定着したと感じています」
自社ECでは、2018年からAmazonが提供する決済サービス、Amazon Payを導入しています。
岡さん「お客様がAmazon Payでの決済を選択されると、ご自身のAmazonアカウントに登録されている住所やクレジットカード番号などのお支払い情報を入力する手間が省けるので、利便性が高いと思います。スムーズな決済によってサイト離脱を防ぐという対策面もありますが、一番はお客様の満足度向上のため。Amazon Payがあるとないとでは購買体験が大きく変わるので、当社にとっては必要不可欠なサービスだと考えています」
Amazonでの販売をきっかけに出雲抹茶の知名度を上げることができた
桃翠園の商品は、地域社会に根差したものづくりに注力する販売事業者様の商品を取り揃えるAmazonの特設サイト、日本ストアで紹介されたことがあります。
岡さん「日本ストアを見た方から出演依頼が届き、テレビで出雲抹茶を紹介する機会を得ました。販売当初にAmazonのスポンサープロダクト広告を使ったことも商品の知名度を上げることにつながりましたし、Amazonによる情報伝達力の大きさを実感しています」
商品を購入する側の立場から見ても、Amazonのメリットは大きいと岡さんは続けます。
岡さん「私はよくAmazonで買い物をしますが、サービスが本当に充実していると思います。欲しい商品をすぐに探し出せますし、Amazonプライム会員になればスピーディに商品が届くお急ぎ便を利用できます。そうしたサービスの数々が、Amazonが多くのお客様に利用される要因ではないでしょうか」
Amazonでの販売というDXへの挑戦は、同社に連綿と受け継がれるチャレンジ精神を後押ししています。
岡さん「人口減少や高齢化、生産者の減少など、茶業全体が抱える課題は少なくありません。それらを解決するためにも、出雲抹茶の魅力を多くの人に広めるためにも、デジタルの力は不可欠だと思います。今後もデジタルを活用しながら、伝統や慣習にとらわれない新しいことに挑戦していきたいですね」
ものづくりを継承し、時を超えて愛されるランドセルを製造
株式会社土屋鞄製造所は、東京都足立区にある老舗の皮革製品メーカーです。2022年に厚生労働省の「現代の名工」に選ばれた土屋國男さんが1965年に創業し、日本におけるランドセルの普及を支えてきました。「社員の中には、小学生のころ、当社のランドセルを使っていたという人もいるんですよ」と語るのは、ランドセル事業推進本部 grirose事業企画部部長の赤堀哲男さんです。
赤堀さん「土屋は85歳になった今も工房に顔を出し、後進の指導にあたっています。工房では20代から80代の職人がランドセルづくりに携わり、ものづくりの精神と技術が継承されているんです。ランドセルは、お客様にとって6年間を一緒に過ごす大切な鞄。職人の手によって細部まで作り込まれた機能性はもちろん、子どもたちに愛着を持って使ってもらいたいという想いが強いですね」
時を超えて愛されるランドセルを作り、ものを大切にする気持ちを育むという同社の理念は、アフターサービスにも表れています。
赤堀さん「6年間の無料修理保証をつけ、卒業後はミニチュアランドセルなどにリメイクするサービスを提供しています。長く安心して使った後も、思い出のランドセルを大切にしていただけるとうれしいですね」
Amazon Payの導入で自社ECにおける購買体験を楽しいものに
土屋鞄製造所は、2000年代初頭からECでの販売を開始。販路を自社ECと実店舗に限定している点も、同社の理念に基づいています。
赤堀さん「当社とお客様の関係は、商品をご購入いただいた後も続きます。そうしたつながりを大切にするために、ランドセルはタッチポイントを自社ECと実店舗に絞っています。また、ブランドの世界観を伝えるためにサイト制作は社員が担い、当社のランドセルを背負った姿を想像しやすいように動画や写真を用意しています」
お客様にとって楽しい購買体験ができるよう、自社ECにAmazon Payを導入している点も工夫の1つだといいます。
赤堀さん「2019年、経済産業省がキャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上を目的に、キャッシュレス・消費者還元事業を行いました。その際、Amazon Payがキャッシュレス加盟店支援事業者に登録されたことをきっかけに、自社ECにAmazon Payを導入しました。お客様が住所などの情報を入力する手間がなく、わずかな操作で商品を購入できるメリットは大きいと思います。実際、決済方法としてAmazon Payをご利用されるお客様は多く、快適な購買体験には欠かせないサービスだと実感しています」
自社ECを始めたことは、同社にとってターニングポイントだったと赤堀さんは振り返ります。
赤堀さん「自社ECを始めた2000年代初頭は、まだECが広く社会に浸透していませんでしたが、ECであれば全国に販路を広げ、サイトを通じてブランディングができる利点に着目しました。お客様は好きな時間にお買い物ができますし、実店舗で商品に触れていただき、ECでじっくり商品を選んで購入していただくなど、購買体験の幅も広がります。今振り返れば、時代に先駆けてECを始めたことが当社の成長につながっていると思います」
大切な価値観を軸に据え、時代に合わせたDXに取り組みたい
土屋鞄製造所は、Amazon Payの導入以外にもさまざまなDXに取り組み、デジタルシフトを推進しています。
赤堀さん「コロナ禍にお客様向けのオンライン相談会やライブ配信を開始し、デジタル人材の育成にも力を入れています。実店舗では丁寧な接客を心がけ、リアルとデジタルを共存させ、補い合うことでお客様にとって最良の購買体験が生まれると考えています。今後も、大切にしてきたものづくりの精神や技術を軸に据え、時代に合わせたDXに取り組んでいきたいですね」
長い歴史の中で育んできた精神や技術を受け継ぎながら、DXを活用した革新に挑んでいる桃翠園と土屋鞄製造所。DXの一環であるAmazon Payの導入は、両社が提供する購買体験をより快適に、満足度の高いものに進化させました。こうしたDXの積み重ねは、老舗企業の挑戦を加速させ、受け継いだ伝統を深化させていくことでしょう。
Amazon Payとは?
Amazonアカウントに登録された住所情報やお支払い情報を使って、商品やサービスの支払いができる簡単で安心・安全な決済サービスです。Amazon.co.jp以外のサイトでも、Amazonアカウントを使ってお買い物を楽しむことができます。
本連載について
Amazonでの販売を支援する「Amazon出品サービス」、ビジネス上の購買をサポートする法人向けサービス「Amazon ビジネス」、決済サービス「Amazon Pay」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonはさまざまな企業の課題を解決する多様な選択肢を提供しています。本連載では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組む中小企業と、そのDXをさまざまなカタチで支援するAmazonのストーリーをご紹介します。
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