naotjewelry(ナオットジュエリー)のブランド名でデザインジュエリーを企画、製造、販売するNAoT合同会社。起業は2018年。代表の高原菜穂子さんは、趣味だったジュエリー作りを発展させ、より多くの女性たちを輝かせたいと、販路拡大のために未経験だったECビジネスの世界に飛び込みました。仕事と家庭の両立、女性スタッフとの協働と、ワークライフバランスを大切にする高原さんが目指す次のステップは、Amazonの「FBA」を活用した海外への販路拡大です。
デイリーに使いやすく個性的でシンプルなデザインのジュエリーで、日本と世界の女性たちを美しく輝かせたい
子育てしながら働きたいという気持ちから起業を決意
ふだん使いにも、外出のときにも、もちろん仕事にも、気軽につけられるシンプルなデザイン。それでいて、個性が光るジュエリーが欲しい。そんな女性たちのニーズにマッチした「naotjewelry」を手がけているのが、北海道札幌市にあるNAoT合同会社代表の高原菜穂子さんです。
高原さんは2人目の出産を機に、勤めていた不動産会社を辞め、専業主婦に。しかし、仕事をしたいという高原さんの思いは強く、今から10年ほど前に、趣味で始めたジュエリー作りを仕事に発展させられないかと考えたことが出発点でした。
「当時の私は、2人の子どもを育てる専業主婦でした。ネックレスやピアスを友だちにプレゼントしたり、頼まれて作ったりするうちに、ハンドメイド専門のイベントに参加するように。さらに雑貨店やヘアサロンなどで委託販売もするようになり、少しずつ販路が広がっていったんです」
高原さんは、幼いころからモノ作りが好きでした。実家が工務店を経営していたり、大学で建築を専攻していたりしたことから、デザインの基礎は身についていました。その知識と働く女性、そして主婦の経験が、「naotjewelry」に生きることになったのです。
しかし、イベントや店舗での対面販売を本格的なビジネスとして成立させるには、人手や時間の確保という壁がありました。そこで目を向けたのが、インターネット通販です。
「働くことが好きなので、ジュエリー作りを始めたころから、いつかはしっかりした収入が得られる仕事にできれば、と考えていました。インターネット販売は初めてでしたが、家事や育児と並行して仕事をしたい私には、ぴったりの販売方法だと思ったので、やってみようと思いました」
そして、2018年5月にNAoT合同会社を設立。数社のオンラインショップを併設した自社のホームページを開設するとともに、Amazonでも出品を開始しました。
やっと見つけた製造会社との初商品が大ヒット
ネットショップの開設と同時期に高原さんが奔走したのが、デザインしたオリジナル商品を量産してくれる製造会社を探すことでした。全国から舞い込む注文に対応できる生産体制が必要だったのです。
「製造会社が見つかるまでは、本当に大変でした。気軽に購入できるように、量産タイプの商品はコストを抑えたいけれど、デザインにはこだわりたい。その両方をかなえられる会社がなかなか見つからなかったんです。出張時には夫に家事を任せて、短い滞在時間のなかで製造会社が多い東京で訪ね歩いたり、展示会に行って交渉したり。電話やメールでの問い合わせも、何十社に連絡を取ったか覚えていないくらいです」
製造会社はなかなか見つからず、何度もくじけそうになりました。そんな諦めかけた気持ちを支えたのは、「妻や母の立場とは違う時間を持ちたい。自分がデザインしたジュエリーで女性に美しく輝いてもらいたい」という情熱でした。
そして、1年ほど経ったころ、ようやく製造会社が見つかったのです。
製造会社に依頼した初めての商品は、小さな丸い粒を泡に見立て、輪の形に加工した「バブルサークルピアス」でした。耳につけると可憐な花のようにも見えるピアスは、高原さんの予想を上回る大ヒット商品に。
「たくさんのご注文はうれしかったのですが、新たな悩みも生まれました。1人で発送に追われる日が続き、新しいデザインを考える余裕もなく、仕事のやり方を見直す必要に迫られたのです」
問題解決のためにまず取りかかったのは、スタッフの雇用です。事務だけでなく、ジュエリーの作り方を覚えてもらい、自社の工房で手がける少量生産品やこだわりのあるオーダーメイドの製造にも関わってもらいたいと考え、高原さんのパートナーになる人材を探しました。
「2019年7月に初めて採用し、今は3人のスタッフが働いています。私が家庭と仕事の両立で苦労したこともあり、NAoTは女性が働きやすく、やりがいが感じられる環境を大切にしています。育児や介護など、それぞれの家庭の事情も考慮し、新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、在宅勤務を基本にしているのも、その理由からです」
今、高原さんが新作の商品企画に集中できるのも、スタッフが支えてくれているから。彼女たちは、新作のデザインや使いやすさを検討してくれたり、商品撮影のアイデアを出してくれたり、「naotjewelry」の個性を際立たせる、さまざまな場面で活躍しています。
FBAを活用して国内外の販路を強化
「もう一つ、見直しが必要なのが流通体制でした。商品発送に追われている一方で、Amazonが受注や発送、カスタマーサポートもしてくれる、フルフィルメントby Amazon(FBA)を使い始めていました。そしてふと、『そういえばAmazonは、いつの間にか商品が売れて、発送されている』と気づいて、FBAをより積極的に活用することにしたのです」
FBAを利用するために、高原さんたちが普段行うのは、Amazon物流拠点のフルフィルメントセンター(FC)へ商品を発送することと商品の在庫チェック。設立3年目の企業でも利用しやすいコストで、土日夜間も関係なく受注以降の作業をAmazonが代行するFBAは、家族との時間を大切にしたい高原さんたちにとって大きなメリットのあるサービスでした。
「Amazonのレビューもよく目を通しています。私たちが気づかなかった点を書いてくださるので、商品企画や顧客サービスの改善にとても役立っています」
初めて遭遇する数々の経験を乗り越え、コツコツと歩んできた高原さんは、今また新たな目標に目を向けています。海外へ販路拡大です。これまでも中国や台湾、シンガポールなどのアジア圏を中心に、オーストラリアやカナダからも注文が舞い込んでいましたが、「これからはさらにグローバルセリングに力を入れたい」と話します。
「外出自粛生活が始まって以来、巣ごもりの影響か、受注が増えました。そのことが海外へ進出してみようという後押しになったのです。Amazonのグローバルセリングを利用すれば、言語の違いを心配することなく、海外販売が可能になります。海外での販売のハードルがぐっと下がりました」
高原さんの夢は、女性を美しく、笑顔にするジュエリーを作り、多くの人に身につけてもらうことです。その夢がまた一歩次なる段階に差し掛かっています。
「naotjewelryのネーミングは、私の名前が元になっています。自分の名前が由来のブランド名が世界に広がれば素敵だな、という夢と憧れを込めました。その実現に向けて、naotjewelryの魅力が日本から世界へ、Amazonを通して伝わって欲しいと願っています」