Amazonは長年にわたり災害支援活動を続けてきました。その一環として2024年8月28日に、大地震などの災害により東京都中央区の銀座地区で帰宅困難者が発生したことを想定した受け入れ訓練を実施し、Amazonのメンバーも訓練の立案当初から参画しました。中央区帰宅困難者支援施設運営協議会、GINZA KABUKIZA(歌舞伎座)とAmazonが連携して実施した訓練の様子をご紹介します。


兵庫県尼崎市と神奈川県相模原市のフルフィルメントセンターに開設した「Disaster Relief Hub」で災害支援機能を強化

Amazonでは、すべての活動の基礎となる行動指針リーダーシップ・プリンシプルの1つとして、Success and Scale Bring Broad Responsibilityを掲げ、お客様、社員、パートナー企業、そして社会全体のために、より良いものを作り、より良い行動を取り、より良い企業になるという決意を表明しています。

Amazonの災害支援チームは、Amazonのグローバルな物流能力を活用し、自然災害が発生した際、最も迅速で、効果的な支援ができるよう、常に準備を整えています。

日本では、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震2018年の西日本豪雨2019年の長野県で起きた豪雨災害、2020年の熊本県を中心にした豪雨災害など、近年の災害時にもAmazonの基本的な機能である「ほしい物リスト」をお客様にご活用いただき、自治体や支援団体に現地で必要とされている物資をお届けしてきました。

2023年には、災害支援物資の拠点となる「Disaster Relief Hub」を兵庫県尼崎市のAmazonフルフィルメントセンター(FC)神奈川県相模原市のFCに開設。過去に被災者の方からニーズが高かった物資を中心に、約50種類約1万5000点の災害支援物資を保管しています。

倉庫のような広い空間に多数の台車の上に段ボールが並べて配置されている

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、現地のNPOなどと連携し、AmazonのDisaster Relief Hubから毛布や水、食料、衛生用品など被災地のニーズに合わせた支援物資を複数回にわたって配送し、最終的には約150種類10万点以上の物資を被災地にお届けしました。

こうした経験やノウハウをより多くの方に生かしてもらうため、今回、中央区帰宅困難者支援施設運営協議会の呼びかけに応じて、アマゾンジャパン、GINZA KABUKIZAの3者協働で実施された、帰宅困難者の一時避難を想定した訓練に参加しました。

東京の銀座地区は、大地震などの災害が起きた際、海外旅行客を含む帰宅困難者が多数発生すると予想される場所です。東京都中央区のGINZA KABUKIZAの地下2階にある木挽町(こびきちょう)広場を会場に、アマゾンジャパンからは、相模原FCサイトリードの瀧川匠さんのほか約10数名が参加しました。

第10回Amazon Academy内で日本への投資について発表。物流・配送ネットワークの構築にここ数年間で毎年、数千億円以上の投資を継続

避難時に役立つ災害支援物資をAmazonがノウハウを活かして提供

大地震などの災害により東京都中央区の銀座地区で帰宅困難者が発生したことを想定した今回の訓練は、4つのパートに分かれて行われました。

まずは、帰宅困難者の受け入れ訓練です。アマゾンジャパンの社員やその他関係者たち30人ほどが、帰宅困難者役を務めました。地震発生を想定した館内アナウンスのあと、帰宅困難者役の方たちは、歌舞伎座の施設スタッフの案内で受付をし、利用時の説明を受け、木挽町広場に設けられた一時待機場所に誘導されました。そして、アマゾンジャパンの社員から避難時に役立つ災害支援キットが配布されました。

「帰宅困難者」という表示がつけられているオレンジベストにを着ている多数の人が長テーブルに設けられた受付の前に並んでいる。長テーブルにはスーツに青いベストを着ている男性2人が紙に書類を指で示している
帰宅困難者受け入れのための受付の様子

この災害支援キットは、Amazonの災害支援のノウハウを基に用意したものです。袋のなかには、除菌ティッシュやティッシュをはじめ、ポータブルトイレとマスク、体温の低下を防ぐアルミシート、ばんそうこうと綿棒入りのメディカルセットが入っており、猛暑の最中ということもあり、AmazonとGINZA KABUKIZAのロゴが印刷されたうちわも加わりました。また、銀座は海外からの旅行者も多い場所です。キットには、それぞれの防災グッズを英語、中国語、韓国語、スペイン語で説明した紙も同封されました。

エアクッション、銀座もしも防災Map、ポータブルトイレ、マスク、体温の低下を防ぐアルミシート、ばんそうこうと綿棒入りのメディカルセット、うちわが並べて置かれている
当日配布された災害キット

2番目のパートは、支援物資に関する情報共有です。アマゾンジャパンは、災害支援専門のパートナー団体や行政機関、地域コミュニティと連携し、災害支援物資をお届けしてきた経験を積み重ね、備蓄品の選択や保管方法を日ごろから、工夫しています。このパートでは、アマゾンジャパンが迅速で的確に災害支援物資をお届けするため、どのように支援物資を選択し、保管しているかの説明が行われました。会場には、相模原FCの「Disaster Relief Hub」での保管状況がわかる、支援物資を積んだロールボックスも並べられました。

広いホールに、ダンボールが積まれた5台のカートがホールに置かれている。そのカートの上には、鳳凰の紋と歌舞伎座と書かれた大きな提灯が天井から吊り下げられている。
災害支援物資。ロールボックスごとに内容物と個数が明記され、箱の中身もわかりやすいようにラベルなどが貼られている。災害時に1人でも運搬が可能となるよう、Amazonでは、通常時から災害支援物資をロールボックス内に格納している。

用意した支援物資は、簡易便座や防災トイレ、パワー電源やバッテリー、台車、3WAYケーブルなど。トイレの臭いを軽減するための消臭剤や底冷えを防ぐための段ボールベッドなど、避難場所での時間を少しでも安心し、快適に過ごせる物も用意されました。

3番目のパートでは、中央区帰宅困難者支援施設運営協議会が中心になり、災害時の情報連絡体制の説明や中央区防災マップアプリのデモンストレーションが行われました。

4番目のパートでは、Amazonの相模原FCの瀧川さんが、尼崎FCと相模原FCに「Disaster Relief Hub」が開設された経緯や役割を説明。能登半島地震への支援の様子も紹介しました。最後に、アマゾンジャパンから歌舞伎座および中央区帰宅困難者支援施設協議会へ災害支援物資の寄贈が行われました。

寄贈された計3,000セットの支援物資はGINZA KABUKIZAの備蓄倉庫に保管されます。それらの物資は、災害時、歌舞伎座へ避難された方の支援などに使われることになっています。

黒いAmazonのTシャツを着ている男性(瀧川匠さん)とスーツを着ている男性(安孫子正さん)は「GINZA KABUKIZA様」と印刷された紙を持っている。彼らはたくさんのダンボールが積まれたカートの前に立っている。
株式会社歌舞伎座への寄贈 代表取締役社長の安孫子正さん(右)
黒いAmazonのTシャツを着ている男性(瀧川匠さん)と青い作業服を着ている男性(菅沼雅広さん)は「中央区帰宅困難者支援施設運営協議会 様」と印刷された紙を持っている。彼らはたくさんのダンボールが積まれたカートの前に立っている。
中央区帰宅困難者支援施設運営協議会への寄贈 中央区帰宅困難者支援施設運営協議会座長代理 中央区総務部防災危機管理課長 菅沼雅広さん(右)

約1時間ながら、内容の濃い訓練を終えたあとは、日ごろから防災の意識を高めてほしいという思いを込めて、歌舞伎座前で災害支援キットが道ゆく人に配られました。

黒いAmazon Tシャツを着ている男性と女性が銀座歌舞伎座の前で、歌舞伎座のロゴを印刷した白い袋を配っている

支援団体間の連携を強め、個人の防災意識を高める意義のある訓練に

中央区帰宅困難者支援施設運営協議会は、これまでもGINZA KABUKIZAと連携し、防災訓練を実施してきました。同協議会を支援している中央区 総務部 防災危機管理課長の菅沼雅広さんは今回の訓練の意義について、こう話してくれました。

「災害時に重要になるのが、支援物資の物流です。災害発生時の混乱するなか、どのように支援物資が届くのかをシミュレーションしたり、アマゾンジャパンさんのノウハウを訓練を通じて教えていただいたりしたことは、大変参考になりました。関係各者が持っているノウハウの精度をお互いに高めることができたと思います。災害時は地域の施設や地域の人たちによる『お互いに助け合う』ネットワークが極めて重要になります。今回の取り組みを通じて、アマゾンジャパンさん、GINZA KABUKIZAさんとの連携が強化できたことも、非常に意義のある訓練となりました」

紫色に白抜きで鳳凰の紋が入ったの垂れ幕がある歌舞伎座の入り口の前にうちわを持つ男性7人が並んで立っている

会場を提供した株式会社歌舞伎座 事業部長の横山晴久さんにも、訓練の感想を伺いました。

「歌舞伎座では水や食料、毛布などを備蓄し、観劇のお客様を含め3,000人の一時帰宅困難者を受け入れる体制を整えていますが、今回の訓練でアマゾンジャパンさんから寄贈された災害支援物資には、1人用の簡易トイレ、消臭剤など、実際の災害時により役立つ品があり、とてもありがたい提供でした。また、帰宅困難者役として、さまざまなバックグラウンドを持つアマゾンジャパンの社員さんにご協力いただいたことは、銀座を訪れる多くの海外からの旅行者や観劇のお客様に何が必要かを学ぶ、とてもよい機会になりました」

世界最大の人道主義地雷除去団体ヘイロー・トラスト(HALO Trust)は、新たな支援の一環としてアマゾン ウェブ サービス(AWS)から提供された400 万USドルを活用し、ウクライナでの活動を支える人工知能(AI)および機械学習を試験導入

訓練を終えて、瀧川さんは、日ごろからの準備と防災意識を持つことの大切さを改めて強調しました。

「私たちがご提供した支援物資が本当に役立つか、必要なサポートをスピード感を持って取り組めるか、検証し、ブラッシュアップしていくために、今回のような訓練を続けることはとても重要です。今後も機会を見つけて、ぜひ継続していきたいと考えています。能登半島地震の経験から一番大切なのは準備であり、1人1人が防災の意識を持つことが被害を最小限にする重要な手段だと思います。Amazonとしても自然災害が発生した際、被災地のニーズに合わせて迅速かつ効率的に支援ができるよう、準備を進めていきたいと思います」

「Disaster Relief Hub」のロゴが入った黒いTシャツを着ている男性(瀧川匠さん)がマイクで話している。
相模原FCサイトリードの瀧川匠さん

Amazonはこれからも災害支援に力を入れ、被災地のニーズを的確に捉え、迅速に対応する努力を着実に重ねていきます。

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