新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの生活のあらゆるシーンでデジタル活用が推進されています。大人の世界だけでなく、子どもたちにとってもスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスはより身近な存在となり、上手に活用してもらうためにはどうすればいいか悩んでいる保護者の方も多いと思います。そこで今回は長年にわたって子どもたちへのデジタル教育の支援に取り組まれている、NPO法人CANVAS理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役の石戸奈々子さんと、アマゾンジャパンでAmazonデバイス Fireタブレット シニアプロダクトマネージャー 丸山舞さんに、デジタルデバイスを子どもたちが使う際に気をつけるべきポイントや、Fireタブレットキッズモデルなどのデジタルデバイスを通じて子どもの創造性を伸ばすためのヒントを伺いました。

未来のデジタル社会を担う子どもたちに保護者ができること。デジタルデバイスを子どもが使うときのポイントと活用法のヒント
Amazonデバイス Fireタブレット シニアプロダクトマネージャー 丸山舞さん(写真左)、NPO法人CANVAS理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役 石戸奈々子さん(写真右)

デジタルデバイスは消費のためのツールではなく、創造のためのツール

丸山:私には、2人の子どもがいるのですが、ちょうどコロナ禍が始まったのが、上の子が小学1年生に上がるタイミングでした。緊急事態宣言で学校に行けないという状況が続く中で、授業の代わりに紙の教材が配布されたのですが、問題を解いてもすぐに先生からリアクションがあるわけでもなく、親が採点して終わり。せっかく学校に入学したのに、授業のようなインタラクティブな時間が失われてしまうなど、本来小学校で得られる経験とのギャップがあり、これで本当に大丈夫なのかなと、1人の親として感じました。

石戸:登校できないなかで、どのように子どもの学びを継続するかは、大きな問題となりました。日本は諸外国と比較し、教育現場でのICT(情報通信技術)整備率が極めて低いという状況が長らく続いており、私も2005年から学校に入ったらランドセルではなく、1人1台パソコンを持つという「デジタルランドセル構想」を提言していました。2010年には政府が、2020年までに子どもたちが1人1台、情報端末を持って学ぶ環境を整備するという宣言をしましたが、残念ながら、学校ICT環境整備状況において、日本が後進国の状態は変わらず、結果としてコロナ禍においてオンライン教育の導入がなかなか進みませんでした。一方で、その危機感から、急いでデジタル化を推進する必要があると、多くの方が実感したことも事実ではないでしょうか。

未来のデジタル社会を担う子どもたちに保護者ができること。デジタルデバイスを子どもが使うときのポイントと活用法のヒント

丸山:Amazonでは2020年、保護者の方に対して「子どものデジタルデバイスの利用と子育てに関する調査」※1という調査を実施したのですが、従来の、子どもにデジタルデバイスを持たせるのは危ないんじゃないか、視力が悪くなるんじゃないかといったネガティブな意見に反して、知らず知らずのうちに子どもの学ぶ機会が増えたとか、子どもの好奇心が広がったとか、デジタルデバイスについて前向き捉える方が非常に増えました。実際に私の周りでも、以前はママ友と会う時に子どもに遊んでもらうためにお絵かき帳を持ってきたり、折り紙を持ってきたりする方が多かったのですが、最近ではタブレットを持ち歩いている方が増えて、デジタルデバイスが生活に浸透してきていることを肌で感じています。

デジタルデバイスは子どもの好奇心を広げてくれる?

※1 詳しい調査結果については「デジタルデバイスは子どもの好奇心を広げてくれる?」の記事をご参照ください。

Amazon が「子どものデジタルデバイスの利用と子育てに関する調査」を実施。子どもたちがデジタルデバイスをどのように利用しているのか、その結果、保護者としてどのような価値観の変化があったのか、読み解いていきます。

石戸:「子どもの好奇心が広がった」という意見はいいですね。私は、教育にデジタルデバイスを利用するメリットについて質問された時には、「創造・共有・効率」の3点だとお答えしてきました。言葉をかえるならば「楽しく、つながって、便利」です。デジタルデバイスは、テキストだけでなく、映像や音楽などを交えてわかりやすく、楽しく学習をすることができる。アニメーションや作曲など表現や創造への挑戦のハードルを下げてくれる。自分の考えを人と共有することができる。そして、家庭・学校・地域がつながって学習できる自分のペースに合わせた学習ができ、個別最適化された学びを実現できる。子どもたちには、デジタルデバイスを、消費のためのツールではなく、創造のためのツールとして使ってもらいたいですね。

デジタルに苦手意識がある保護者は、子どもから教わって一緒に学べばいい

丸山:ポジティブな意見も増えている一方、やはりまだ私の周りでもデジタル化に対して苦手意識を持っている、例えば最近では電子決済がいいよという話になっても、よくわからないから私は現金でいいです、と一歩を踏み出せないという方がいらっしゃいます。わからないことに不安を感じ、わからないから子どもに教えることができないといってデジタルデバイスを避けている方には、どのようなアドバイスをしたらよいでしょうか。

石戸:大人が常に教える側にいなければならないわけではありません。子どもの方が詳しいことって世の中にたくさんあって、例えば電車マニアの子どもの知識に、大人は敵わないですよね(笑)。子どもがデジタルデバイスを使うのが得意であれば、その使い方に関しては、親の方から「教えてよ」とお願いして、コミュニケーションをとりながらお互いに学んでいけばいいのではないでしょうか。

未来のデジタル社会を担う子どもたちに保護者ができること。デジタルデバイスを子どもが使うときのポイントと活用法のヒント

丸山:親や家族も一緒に学んでいく、本当にそうですね。それに、デジタルデバイスが家族のコミュニケーションツールになるというのはいいですね。私の家でも子どもがおじいちゃん、おばあちゃんとタブレットで一緒に遊んだり、勉強をしたりしていることがあって、デジタルデバイスがコミュニケーションのきっかけになっていることを感じますね。

石戸:一方で、子どもたちに親が教えてあげられることもたくさんあると思います。例えば、保護者の方から子どもがネットでトラブルに合わないか不安であると聞くことがあります。インターネット上のトラブルってリアルな世界と共通することも多いと思うんですよね。知らない人にはついていってはいけない、人の悪口を言ってはいけない、親のクレジットカードを勝手に使ってはいけないなど、普段皆さんが子どもに注意していることは、ネットの世界にも当てはまるんです。ですので、デジタルデバイスを使う上で注意すべきことは、これまでの大人の経験からアドバイスできることが多いのではないかと思います。

Fireタブレットキッズモデルは、子どもの好奇心や可能性を広げることを助けるデバイス

丸山:ところで石戸さんは、AmazonのFireタブレットキッズモデルを使用されたことはありますか?

石戸:はい、実は日本で発売された2019年にどんなものだろうと思って買ってみました。私がいいなと思ったのがコンテンツへのアクセス制限ができる「ペアレンタルコントロール」機能です。保護者からすると膨大な情報があるインターネットの海に、急に子どもを入れるのって不安を持たれる方が多いですよね。だからそれこそ海水浴場で旗を立てて遊泳区域を設定するように、アクセス範囲を決められるのは安心を感じられると思いました。

未来のデジタル社会を担う子どもたちに保護者ができること。デジタルデバイスを子どもが使うときのポイントと活用法のヒント

丸山:ありがとうございます。AmazonのFireタブレットキッズモデルは、持ち運びに便利な7インチ、お出かけ先でもご自宅でも重宝する8インチと、3つのサイズで展開しています。10インチはじっくりご自宅で動画や図鑑を見たり、お絵描きをしたりするのにお薦めです。その他にも、Amazon Kids+という数千点の学習コンテンツや電子書籍が1年間使い放題になるサービスがデバイスとセットになっていること、専用の保護カバーが付いてくること、2年間の保証があること。そして石戸さんにもおっしゃっていただいたペアレンタルコントロールも大きな特徴になります。

どのようなアクセス制限ができるかというと、ビデオやアプリ、読書など、コンテンツの種類に応じて時間制限を設定できたり、逆に学習系コンテンツの目標時間を設定できたり。また各コンテンツには対象年齢が設定されていて、子どもの年齢に合わせて表示されるコンテンツを調整することもできます。また年齢の上限・下限も設定することができるので、たとえば小学2年生の子が、上の年齢のコンテンツにも触れたいと思ったら、利用の幅を広げることも可能です。

未来のデジタル社会を担う子どもたちに保護者ができること。デジタルデバイスを子どもが使うときのポイントと活用法のヒント

石戸:保護者は子どもたちの好奇心や可能性を広げてあげたいと願っていると思います。だからこそ、子どもたちの希望や成熟度に合わせて、制限をしながらも、ちょっと先の多様なコンテンツを見せてあげられるように設定できるのはいいなと思いました。

丸山:子どもたちの特性や興味に合わせて成長の機会を与えてあげる、そのためにたくさんの選択肢を用意しておくことは大切ですね。そこで石戸さんにアドバイスをお聞きしたいのですが、ペアレンタルコントロールを設定したり、デジタルデバイスの使い方に関して家庭内でルールを設けたりする上で、気をつけるべきことはなんでしょうか。

石戸:デジタルデバイスの良い使い方は正解のない世界で、子どもの成熟度、親の教育方針、環境によって違うと思います。ですから、保護者が一方的にルールを押し付けてしまうのは子どもが納得できないと思います。学校の校則も、なぜスカートの長さは指定されるのか、なぜ髪を染めてはいけないのか、疑問に感じ、反発した方も多いのではないでしょうか。そこで大事なのが、親子でしっかりと話し合いながらルールを作っていくということです。どういう使い方がいいのか、どういう使い方がよくないのか、そしてそれはなぜなのか、しっかりとした対話を経て、親も子も合意の上でルールを作る。そして決めたルールはしっかり守る。ルールの更新が必要になったら、また話し合う。そうすることで、子どもたちの納得感も変わってくるのではないでしょうか。

丸山:親子で話し合うことで、ルールに対してこういう理由があるんだと理解できますし、次のステップにいくためにはどのすればいいのか、子どもが自分で考えるきっかけにもなる。子どもにとってもすごくいいことですね。

変化の多い時代に適応できるよう、親自身が学び続ける姿勢を見せるのが大事

丸山:コロナ禍を機に、社会のデジタル化がものすごい勢いで進んでいます。これからのデジタル社会を生きる上で、身の回りの大人たちが子どもにできるサポートとは何でしょうか。

石戸:もはや生活も仕事もデジタルがないと成立しません。これからの新しい社会を担う子どもたちはますます、デジタルの活用が必須になってくるでしょう。次の世代が想像力と創造力を発揮して新しい社会を築いていけるよう、大人としては、場やツールを、さりげなく子どもたちに提供してあげることが大事です。

保護者の中には、新しいツールの登場により価値観が変化することに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし変化の激しい時代だからこそ、子どもにも変化に適応する力が求められます。そして変化に適応する力とは、変化を楽しむ姿勢や、どんな変化にも対応できるよう学び続ける力だと思います。であれば、保護者も、新しいものを楽しみながら受け入れて、わからないことは一緒に学んでいく、そういった学び続ける姿を見せることは、子どもたちにとって最高の学びとなるのではないでしょうか。

丸山:ありがとうございます。Amazonとしても子どもや保護者のニーズに応えていけるよう、今後も取り組んでいきたいと思っています。子どもたちにとって興味のあるコンテンツを拡充していくのはもちろんのこと、例えばFireタブレットでプログラミングを組んでロボットを操作できるようにしたり、Fireタブレットを通じてお友達やご家族と一緒に楽しんだり。その時代に合わせたニーズに応えて、子どもたちが自発的に何かをやってみたいと思える意識を高め、その機会を、デジタルデバイスを通じて提供していきたいというのが私たちの考えです。

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