3月19日、マンガ界に新たな息吹をもたらすマンガ家を発掘する「第1回Kindleインディーズマンガ大賞」の受賞作品が発表されました。大賞には『ブス界へようこそ(著者:河野大樹)』が選ばれ、優秀賞には『異世界AV撮影隊(著者:がちょん次郎)』および『不良が好きな先生(著者:早坂啓吾)』が選ばれました。また今回、審査員全員が『サヨナラもっちゃん(著者:丸本チンタ)』に感銘を受けたことから、大賞に続く準大賞が設立され、同作品が選ばれました。
本コンテストは、Amazonが提供する電子書籍の自主出版サービスKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)を通じて、誰でも無料でAmazon Kindleストアに作品を直接公開できる「Kindleインディーズマンガ」の一環として開催されたものです。
Amazon上で作品を無料で公開することによって、インディーズ作家の皆さんには、よりたくさんの人たちに作品を読んでいただけるチャンスができます。そして読者の方にとっても、これまで読んだことのない多様な作品と出会う機会が広がります。またインディーズ作家の皆さんは、作品の人気が高まると、「インディーズ無料マンガ基金」*から、より多くの分配金を得られるチャンスも生まれます。
*インディーズ無料マンガ基金に登録すると収入を得ることができます。ファンを増やして作品の人気度が高くなると、より多くの分配金を得られるチャンスが生まれます。この基金からの分配金は、インディーズマンガの著者に対して毎月支払われます。
発表に合わせて、受賞者および審査員の皆様から、受賞に際していただいたコメントをご紹介します。
「マンガを描く楽しさを思い出せた」
大賞『ブス界へようこそ』著者 河野大樹さん
「商業誌でのデビューや連載を目指す過程で、マンガ描く楽しさが分からなくなってしまったことがあり、その時に最初の気持ちを思い出したくて、自身の処女作であった本作のネームを連載原稿にし始めました」
また、Kindleインディーズマンガに対する思いとして、「マンガは収益をあげるまでにとても時間がかかるので、より多くのマンガ家さんがマンガに時間を費やせるようになるインディーズ無料マンガ基金の分配金の仕組みは素晴らしいと思います。僕もこの分配金のおかげで、マンガを描く時間を増やすことができました」と話します。
「たくさんのマンガがある中、Kindleインディーズマンガで『ブス界へようこそ』を読んでくださったすべての方にお礼を申し上げます」
「6年間の集大成を見てもらおうと無料公開を決意」
準大賞『サヨナラもっちゃん』著者 丸本チンタさん
「僕のエッセイマンガは娘のことを中心に描いています。6年ほどエッセイマンガを描いてきた中で、過去2冊の書籍は出版社を通して出版させていただいたのですが、今回の応募作『サヨナラ もっちゃん』が最終巻の位置づけになるので、少しでも多くの人に見ていただこうと無料公開することに決め、Kindleインディーズマンガで発表するために制作しました。
Kindleインディーズマンガで公開されている作品のほとんどは、セルフプロデュースの無料マンガだと思いますが、中には有料のマンガに負けていないクオリティの作品もあると思います。それらを見つけて、どうか応援よろしくお願いいたします」
「多くの読者に読んでもらう機会がある」
優秀賞『異世界AV撮影隊』著者 がちょん次郎さん
「過去に商業誌で連載を描いていた時に、読み切り用に描いたネタをちょっとした気まぐれでKindleインディーズマンガに投稿してみたら、意外と反応が良かったので2話以降を描き下ろしました。描く側にとって、Kindle インディーズマンガは多くの人に見てもらえるチャンスがあることが魅力です。
自分にとってマンガを描くことは、『仕事を辞めてこれで生活してみるか』って思えるくらいは人生に影響していると思います。これからも地道に描き続けようと思うので、よろしくお願いします」
「読者の反応や分配金がモチベーションに」
優秀賞『不良が好きな先生』著者 早坂啓吾さん
「怖い顔でやさしい人みたいなギャップのあるギャグマンガを描こうとして、どんどんギャップを出したら、今回の作品になりました。Kindleインディーズマンガの魅力は、とにかく描いたらすぐにアップできて、すぐに人に読んでもらえるところです。ダウンロード数などで人気があるかないかわかるので、それを参考に次回作の方向性を決められたりします。
分配金というのも非常に魅力的で、作品を載せるモチベーションになります。読者の方には、無料なのでどんどん読んでいただきたいのと、いろいろな感想をいただければうれしいです」
審査員から受賞作・応募作へのメッセージ
受賞発表会では、審査員の皆さんが受賞作を1つずつ発表し、それぞれの受賞作への熱い思いを語っていただきました。
「ほとばしる情熱! とんでもない作品たちに出会ってしまった」
歌手・タレント中川翔子さん
「マンガが大好きで、何度も人生を救われた」と話すほどのマンガ愛好家である中川さんは、今回の応募作品について「すごいことになっていました!」と、興奮した様子で話します。
「私自身もKindleでたくさんのマンガを持ち歩いていて、移動などの空き時間の時に読んでいます。だから審査員として、皆さんのマンガを読めることがとても楽しみでした。
マンガを描く人材って、本当に『尊い』です。画力はもちろんのこと、ご縁や運、タイミング、時代を読む力、人生の経験値など、すべてのことが作品に反映されていると感じます。さらにインディーズマンガといえば、他の誰かに『こう描きなさい』と言われることなく、作家が自身のほとばしる情熱をぶつけられる場所です。
今回、『何だこれは!』というほどの、とんでもない作品に出会ってしまいました。Kindleインディーズマンガは、こんなにクオリティの高い作品が集まる場所なのかと驚きました」
「Kindleならではの表現が、紙媒体とは異なる新しいマンガの世界を作る」
コミックマーケット準備会共同代表 安田かほるさん
「私は常日頃から、インディーズのマンガ作品に囲まれて、さまざまなマンガを読み続けてきました。でも、今回の応募作品を読むにつれ、『Kindleならではのマンガ表現』というのが見えてきて、それがひとつの新しい面白さにつながっていると感じました。コマ割りでストーリーを見せるという点では、Kindleも紙のマンガも同じ。ただしKindleでは、読者が気になったコマをクローズアップ(拡大)しながら読み進めることがよくあります。これは作家にとって、『力を入れて描いたコマを細部まで見てもらえる』というメリットであるのと同時に、『絵にアラがあったら見えてしまう』とも言えるわけです。Kindleのマンガ作品においては、作家ごとの個性や作風の差がより明らかになる側面があると感じました」
「Kindleインディーズマンガは夢を叶えるための重要なステップ」
代々木アニメーション学院マンガ科学科長 兼 講師 鹿島亮介さん
「今回の応募作品には、インディーズだからこそ描けるマンガや、非常に完成度の高いマンガが揃っていました。うちの学生たちにも紹介して、今後の制作の参考にしてもらいたい」と話すのは、代々木アニメーション学院の鹿島さんです。
「マンガの主戦場は、紙媒体からインターネットへと確実に移りつつあると感じます。マンガ家を志す学生たちの多くは、『いつかは紙媒体の商業雑誌でマンガを描きたい』と目標にしています。しかし現在、そのための大事なステップとも言えるのが、インターネットでマンガを無料公開すること。また、そうやってファンを増やして知名度を上げた作家が、商業誌からスカウトを受けることも珍しくありません。
この『まずはたくさんの人に作品を見てもらう』という段階において、AmazonのKindleインディーズマンガは、無限の可能性がある場所だと言えます」
インディーズマンガ作家を支援するAmazonの取り組み
今回のプロジェクトを統括した、アマゾンジャパン Kindleコンテンツ事業部JP Comics 担当 責任者のウィンキー・ウンは、Amazonの作家支援の取り組みについてこう話します。
「Kindleインディーズマンガは、様々なバックグラウンドのマンガ家を応援し、ご自身の作品を手軽に無料でセルフ出版できるKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)の一機能として、2018年7月よりサービスが開始されました。また、新しいマンガ家の発掘に加え、より多くの読者の皆さんにマンガを無料で提供するという狙いもあります。本コンテストはインディーズ無料マンガ基金に加え、マンガ家をサポートするという目的で実施されました。今回ご応募いただいた作品はどれもレベルが高く、Kindleインディーズマンガから無料でお読みいただけます。Amazonはこれからも才能とエネルギーにあふれたマンガ家の皆さんの活動を支援し、活躍の場を提供していきます」