「Amazonのサービスを活用することで、お客様との接点を増やし、接客時間を確保できるようになりました」
「音楽を楽しむ人を一人でも多く創る」ことを経営理念の第一に掲げ、楽器販売と音楽教室の運営を手掛ける島村楽器株式会社。北海道から沖縄まで全国39都道府県に170店を展開している。「Amazonの様々なサービスを活用することで、お客様との接点を増やし、音楽を楽しむ方々のミュージックライフをサポートしています」と語るのは、島村楽器オンラインストアのチーフマネージャー・宝蔵寺剛さんと、管理部経理課主任・柳澤綾香さんだ。
販売件数が多く、ニッチなものも売れる
ギター好きが高じて島村楽器に入社を決めたという宝蔵寺さん。新卒で入社後は九州の店舗で10年勤務し、その間店長も務めた。インターネット販売について独学で学んでいたところ、社長にEC事業部に抜擢され、2010年からオンラインストアに携わるようになった。
「当時すでに島村楽器では、自社のサイトでAmazonの販売などでのインターネット販売はスタートしていたのですが、在庫管理やシステム活用など、まだまだ改善できるところがあると感じていました。もともと個人でAmazonを使って買い物をして便利だと感じていましたので、ビジネスとしてもAmazonを通じたインターネット販売に関わることに興味がありました」
Amazonでは、商品の販売件数が多いだけでなくニッチな商品も売れるという。象徴的だったのは、倉庫で眠っていた電子楽器「テルミン」を販売してみたところ、売れたことだった。テルミンは、1920年にロシアの物理学者が発明したもので、楽器本体には手を触れず、手をかざすことで周波数を変えながら演奏するという、珍しい電子楽器だ。
「テルミンはブームが何度かありましたが、小さいサイズのテルミンは、廃番になって久しかったんです。期待せずに、在庫として残っていたわずか数点のテルミンをAmazonに出品したところ、売れて驚きました。Amazonでは、商品番号がついているいわゆる型番商品がよく売れますが、マニアックだけど、他店にはない商品を探しているお客様にもご購入いただいているという印象です。お客様の検索結果に基づいて、広告が表示されるAmazonスポンサープロダクト広告を利用することで、より多くのお客様との接点を増やせていると思います」
お客様との接点を増やすオンラインストア
「最近では、お客様が『こういうものが欲しい』と考えたときに、まずAmazonで検索するという傾向があるように思います。そのため、Amazonで販売することが、幅広い層のお客様に島村楽器の商品を知っていただける機会になると考えています。Amazonでそのままご購入いただく場合もあれば、Amazonで島村楽器の名前をご覧になって、弊社の実店舗で実物を見てからご購入いただくこともあるのではないでしょうか。Amazonでの販売により、実店舗や自社サイトでは出会えないお客様との接点ができるので、インターネット販売と実店舗との良い循環ができていると思います」
島村楽器では、有名ブランドメーカーの商品を取り扱うだけでなく、島村楽器オリジナルブランドによる楽器の製造・販売も行っている。昨年25周年を迎えたオリジナルのギターブランド「HISTORY」をはじめ、鍵盤楽器、管楽器、打楽器など、そのラインナップは多彩だ。
「オリジナル商品は、自社のオンラインストアでよく売れる傾向があります。自社サイトではポイント付与などのサービスは行っていないので、少しでもお客様に便利にお買い物をしていただくために、Amazon Payという決済サービスを導入しました。Amazonのアカウントをお持ちのお客様が支払い方法としてAmazon Payを選択されれば、住所やクレジットカード情報などを入力することなく、商品の決済が完了し、簡単にご購入いただけます」
島村楽器のインターネット販売の売り上げは10年前の10倍近くまで成長している。数名だったEC事業担当者が今では20名以上になり、宝蔵寺さんは部署を率いる立場になった。今後はインターネットでの販路を海外にも広げていきたいと考えている。
「中国には実店舗を出店していますが、今のところ楽器へのニーズは欧州、北米、日本のほうが高いですね。アメリカのAmazon.comでの販売も検討中です。インターネット販売を通じて海外でも積極的にオリジナル商品や中古商品などの販売をしていきたいと考えています」
効率化でお客様との時間を増加
島村楽器が導入しているもう1つのAmazonのサービスは、法人・個人事業主様向けの購買専用サイト「Amazonビジネス」だ。事業用のアカウントを作成することで、対象商品を数量割引や法人価格で購入できるほか、請求書払いなどが行えるようになる。
2017年にAmazonビジネスの導入を進めたのが、経理担当の柳澤綾香さんだった。柳澤さんもまた新卒で入社し、店舗スタッフを4年、店長を4年経験。その後のキャリアを考えて、経理に異動を希望した。Amazonビジネスのサービスが開始されてからほどなく導入を決めた理由には、店長としての勤務経験があった。
「店舗運営に必要な備品、たとえば文具やパソコン周辺機器、掃除用品などを購入するために、以前は売上金とは別に、そうした支払いのための『小口現金』を用意していました。本社があらかじめ現金を振り込んだ口座から、各店舗の店長が必要に応じてお金を引き出して管理していました。スタッフが買い物に行き、精算し、領収書を本社に郵送するなど、大変手間がかかりました。そのうえ、お釣りと出費の金額が合わなかったり、領収書を紛失したり。そういった手間と時間を減らしたかったんです」
その作業を全170店舗で行っていたとなれば、そのための時間は膨大になる。その作業を効率化できれば、店舗だけでなく、たくさんの数の領収書や請求書の処理を行う本社経理部の時間も大幅に短縮できる。Amazonビジネス導入後は、小口現金を一切廃止し、備品購入の際にはAmazonビジネスで商品を検索して購入するよう統一した。
「以前は、ハロウィンやクリスマスなど模様替えに必要なアイテムを、季節が変わるたびに雑貨店や100円ショップに買い出しに行っていましたが、今では出かける必要がないので、ちょっとした隙間時間に備品を購入できます。Businessプライム*の会員にもなっているので、発注したらすぐに商品が届きます。楽器店のスタッフというのは、訪れるお客様のご希望に合った商品をご提案するために、時間をかけてコミュニケーションを取ることが必要とされます。Amazonビジネスを活用し作業時間を短くすることで、お客様との大切な時間を確保できるようになりました。また、Amazonビジネス導入のもうひとつの決め手は、決済方法を請求書ではなく、店舗ごとに作ったクレジットカードにすることで、元々導入していた社内の経理システムと連携し、会計上の仕分けまでワンストップでできるという点でした」
*Business プライム:お急ぎ便を無料で利用できるなどの特典があるAmazonビジネスの有料会員プログラム
現在は各店舗がAmazonビジネスのアカウントと、店舗名義のパーチェシングカード(クレジットカード情報のみのバーチャルカード)を持ち、決済を行っている。
「本社の経理担当も、大量の紙の領収書を確認したり、差額が出ていないかを計算したりという業務から解放されました。領収書を一覧で見ることができ、店舗ごとに購買分析をすることで経費の使途も簡単にチェックできます。また、全店舗に購入してもらう商品、たとえばパソコンの接続ケーブルなども、担当部署がAmazonビジネスに掲載されている商品のURLを各店にメールで送信すれば、各店がクリックするだけで購入画面に飛べます。型番を間違えて買ってしまうこともないし、店舗と本社ともお互いの業務量が軽減され、便利になりました」
「お客様のミュージックライフをサポートする」という仕事
島村楽器は1962年に音楽教室からスタートしたこともあり、創業者の言葉である「モノを売る前にコトを売り、コトを売る前に人を売る」という哲学が受け継がれ、接客を何よりも大切に考える企業文化がある。
「楽器をご購入いただいて終わりではなく、長きにわたってお客様のミュージックライフをサポートしていくことが、私たちの仕事です。音楽のある生活を豊かなものにしていただくためにも、音楽教室の運営や楽器の修理も行っていますし、全国規模の発表会やコンクールもあれば、店舗毎にセミナーを開いたりもしています。お客様との接点や接触回数が多ければ多いほど、『島村楽器』というブランドに対して、お客様から親しみを感じていただけると思います。これからも、より多くのお客様に音楽を楽しんでいただきたいですね」