AWS(アマゾン ウェブ サービス)は、2024年11月4日に女子中高生を対象にしたイベント「AWS Girls’ Tech Day 2024」をリアルイベントとして初めて神奈川県相模原市で開催しました。AWS Girls’ Tech Dayは、AWSが世界的に展開する活動の1つで、女の子たちに「STEAM」と総称される科学、技術、工学、芸術、数学などの世界に楽しみながら触れてもらい、進路や将来のキャリアを含め、選択肢の可能性を広げてもらうことを目的にしたイベントです。

今回の開催にあたっては、相模原市教育委員会の後援を受け、中学生と高校生の女の子たちが参加してくれました。以前からVRや生成AIなどに興味を持っていた人もいれば、学校や家族に勧められて参加したという人も。全員がお揃いで、ブルーのGirls Tech Day Tシャツを着用し、これから始まるイベントに目を輝かせていました。


未来のテクノロジーに欠かせないSTEAM分野で活躍する女性技術者たち

今回のイベントでは、前半にステージプログラム、後半には実際にVRアートや3Dプリンターなどに触れることができる体験プログラムを用意しました。

ステージプログラムの始まりに、オープニングスピーチをしたのは、AWS アジア太平洋地域データセンター・デリバリー ディレクターのバレリー・グロスさんです。

紫色のTシャツを着ている黒髪の女性(AWS アジア太平洋地域データセンター・デリバリー ディレクターのバレリー・グロスさん)がポットライトに照らされて、演台でマイクを持ち話している

小学生では、女の子のほうが算数や理科の成績が良いことは、データからわかっています。ところが、学年が上がるにつれて、STEAMに関わる女性は減っていきます。世界の労働力の半分は女性ですが、STEAM分野で活躍する女性は28%しかいません。

グロスさんは、そのことを踏まえて、STEAM分野において女性が活躍する必要性について説明しました。

「STEAM分野で活躍する女性の比率が少ないことは、私たちが日頃、利用している製品やサービス、技術など、社会に影響を与えるものを女性が作る機会が少なかったということになります。つまり、そうした社会を支える重要なものに、女性の視点や創造性、意見が反映されにくい状況にあると言えます。これは皆さんにとっても、社会全体にとっても、望ましいことではありません。世界は皆さんのアイデアと創造力を必要としています。STEAMは難しそうという先入観に惑わされることなく、質問をすること、新しいことに挑戦すること。そして、何よりも失敗を恐れないでください」(グロスさん)


AWSの女性技術者が感じるSTEAM分野で働く喜びとやりがい

続いては、AWSで技術職として働く3人の女性社員によるパネルディスカッションです。パネリストは、木村由布子さん、ダニカ・サンティランさん、小此鬼瑞季さん。ファシリテーターを務めたのは、菊池春奈さんです。それぞれがSTEAM分野で働くなかで女性として感じていることを話し、参加者へのメッセージを伝えました。

紫のTシャツを着てステージで座って並んでいる4人の女性。一番左の女性は他の3人の女性より少し離れている。左から2番目の女性がマイクで話している。彼女たちの後ろには「パネルディスカッション」という表示がされているスクリーン
パネルディスカッションの様子。最左側がAWS インフラストラクチャー・オペレーションズプログラム・マネージャーの菊池春奈さん

AWSに入社して8年目のダニカさんは、フィリピンの出身です。新しいテクノロジーを学び、技術的な問題を解決するのが好きというダニカさんは、休日にはハイキングとスノーボードを楽しんでいます。

Girl’s Tech Dayと印刷された紫色のTシャツを着た長い髪の女性(ダニカ・サンティランさん)がステージでマイク持って話している
AWS データセンターオペレーションマネージャーのダニカ・サンティランさん

「テクノロジー業界で働いていると、他の女性たちに刺激を与えることができます。女性が格好いいガジェットを作っていると、それを見た女の子たちは、その技術にも興味がわき、自分でも挑戦したくなるでしょう。また、さまざまなアイデアを持つ女性と男性が一緒に働くことで、素晴らしいイノベーションも生まれると思います。皆さんには、やりたいことに挑戦する時間は、まだたっぷりあります。世界は常に変化しているので、新しいことを学び続けることが重要です。失敗を恐れないでください」(ダニカさん)

小此鬼さんは、高等専門学校を卒業し、AWSで初めての新卒採用として入社しました。高専時代は、プログラミングや電気電子工学、制御工学など、さまざまな分野の勉強をしたそうです。

Girl’s Tech Dayと印刷された紫色のTシャツを着たボブヘアの女性(小此鬼瑞希さん)がステージでマイクで話している
AWS データセンターエンジニアリングオペレーションズの小此鬼瑞希さん

「私は新卒で入社したこともあって、新人時代はわからないことがたくさんありました。でも最近は、得意な分野や強みが1つでもあると、仕事に活かせることを実感しています。学生時代に学んだことが、意外なところで今の仕事につながることもあります。今はクラウドサービスの加速化でデータセンターの需要が高まり、より多くのエンジニアが必要とされています。STEAMの仕事には日々、学ぶことがたくさんありますし、自分が成長していることも実感できます。興味あること、やってみたいこと、得意なことなどが1つでもあれば、ぜひ挑戦し、積極的に学んで欲しいです」(小此鬼さん)

木村さんは、大学の専攻は文系でしたが、就職後、開発部への配属をきっかけにエンジニアに。ITの知識と技術は大学の講座や独学で学び、キャリアを重ねながら、プロジェクトマネージャーの資格も取得しました。

Girl’s Tech Dayと印刷された紫色のTシャツを着ているミディアムロングの黒髪の女性がステージでマイクで話している
AWS データセンター構築プロジェクトマネージャーの木村由布子さん

「私がエンジニアになった頃は、女性の技術者はもちろん、女性が男性と同じように働き続けることが珍しい時代でした。でも今は違います。そのスタートラインに立つために、今、皆さんに必要なのは、将来の基礎になる中学・高校の勉強にしっかり取り組むことです。なかでも英語は大切です。理系、とくにIT分野では、英語の論文を読んだり、書いたりする機会がとても多いからです。ITにもいろいろな分野がありますし、分野によって必要な技術と知識が大きく違います。幅広く、奥が深い世界なので、きっと興味を感じる分野が見つかると思います」(木村さん)


VRアーティスト、せきぐちあいみさんのパフォーマンス

ステージプログラムのラストは、VRアーティストのせきぐちあいみさんによるパフォーマンスです。せきぐちさんは、2016年からVR空間に3Dの絵を描くアーティストとして活動し、アメリカやドイツ、フランス、ロシアなど、世界各国からオファーを受けています。

VRゴーグルをつけたせきぐちさんは、まるでダンスを踊るように全身を使い、手に握っているコントローラーを操りながら描いていきました。スクリーンに映し出されるその絵は、立体感があり、視点がめまぐるしく変わっていきます。完成したのは、王宮のような空間に、壮麗な龍が浮かぶ3Dアート作品。夢の世界を見ているような艶やかな美しさです。

赤い着物のようなドレスを着た女性がVRヘッドセットを装着してステージでダンスのような動きをしている。彼女の後ろにあるスクリーンには青いウェーブの形が表示されている
赤い着物風のドレスを着ている女性がVRヘッドセットを装着してステージでコントローラーを持って両手を上げている。彼女の後ろにあるスクリーンには、たくさんの藤の花が垂れている中に3匹の金魚が飛んでいるような映像が映っている
赤いドレスを着て、長い金髪の女性がステージでスクリーンを手で指している。彼女の前には数人の観客が見える。スクリーンには輝く部屋に龍が舞っている

パフォーマンスが終了するとせきぐちさんは、世界で活躍する女性の先輩として、参加者に話しかけました。

「私のようなVRアーティストは、少し前まではなかった仕事ですし、テクノロジーが進化している今は、どんどん新しい仕事が生まれています。皆さんが大人になる頃には、まだ存在していない分野が仕事になるかもしれません。今日のようなイベントは、視野を広げる貴重な機会になりますし、参加したということだけで、皆さん、とっても素晴らしい。皆さんのなかには、将来、なりたい職業がある人もいれば、まだ見つかっていない人もいますよね。将来に向けて、自分がどんなことが好きか、どういうことをやりたいかを周りに伝え、自分をブランディングしていくことは大切かなと思います。最初は下手でも、勇気を出して、一歩、踏み出してみる。諦めずに自分なりに試行錯誤していけば、きっとやりたいことができるようになるし、世界がどんどん広がっていくと思います」(せきぐちさん)

長い白い髪の女性がステージでワクワクそうな動きをしている。彼女はコスプレをして赤い袴を着ている。

STEAMに触れるVRアート、生成AI、3Dプリンターの体験プログラム

約1時間のステージプログラムのあとは、2か所の部屋に分かれての体験プログラムです。1つは、せきぐちさんと一緒にVRアートを体験する部屋。もう1つは、生成AIを使って絵を描くコーナーと、CADソフトを操作し、3Dプリンターで工作をするコーナーがある部屋です。参加者は、自分の好きな順番で3つのプログラムを体験していきました。

人気が高かったのは、せきぐちさんと一緒に体験できるVRアートです。VRゴーグルをつけ、手にコントローラーを持ち、自由に絵を描いていきます。近くに置かれたタブレットには、描いている絵が表示され、それを見ながら、せきぐちさんは、「いいね、いいね」「みんな、立体的に描いているね。素晴らしい対応力」と声をかけていました。

白い長い髪の女性が隣にいる女子をVRヘッドセットを被られている。後ろには他の女子たちがVRヘッドセットを被って調整しているようだ。
広い部屋に5人の女子たちがVRヘッドセットを被って、様々な動きをしているようだ。彼女たちの前にはピンク色の線が表示されているiPadがテーブルの上に置かれている。

生成AIアートのコーナーでは、初めて生成AIに触れる参加者もいましたが、すぐに慣れ、素早いタイピングで指示の文章を書き込んでいます。指示の文章をもとに生成AIが作成した絵はユニークなものばかり。簡単に描き直せる生成AIの特徴を活かし、近未来風の街並みを一瞬で中華街風に変えたり、スカイツリーがそびえる風景にクリスマスの飾りが添えられた絵なども。豊かな発想の作品が次々と生み出されていました。

長いテーブルに置かれたパソコンは3人の女性に操作されている。その女性たちは紫色の男性2人によってガイドをされている。

3Dプリンターを使った工作コーナーでは、AWSの社員たちと一緒にネームプレートかスマホスタンド、コードホルダーのどれかを作ることができます。説明を聞き、マニュアルを見ながらパソコンで操作してデータを完成させると、あとは、3Dプリンターが加工してくれるのを待つだけ。CADを初めて体験する参加者が多いなか、戸惑うこともさほどなく、スムーズに作業を進めていました。

パソコンをしている女性がグレー色のジャケットを着ている男性にガイドされているようだ。彼女の周りには他の3人の女性もパソコンを操作している。後ろには数人の紫色のTシャツを着ている男女が集まっている。
3Dプリンターは小さなタグを印刷しているのをズームイン。

休憩時間にはAWS社員との楽しいおしゃべりも

そして、リアルイベントの「AWS Girls Tech Day 2024」ならではの体験となったのが、AWS社員とのおしゃべりでした。会場の休憩用テーブルで、スイーツや飲み物を楽しむ間、参加者は、パネルディスカッションに登壇したダニカさんや小此鬼さん、木村さんたちと話をしていました。

「どんな勉強をしたらいいですか?」「英語力は必要?」「なぜエンジニアになったのですか?」との質問にダニカさんたちもAWSのメンバーも丁寧に笑顔で答えていました。

テーブルに座っている3人の女子が紫色のTシャツを着ている女性と話しているようだ。

全員が3つの体験をすべて終えた頃、イベントも終了時間に。クロージングセッションでは、国立教育政策研究所および文部科学省の渡邊茂一さんが閉会の挨拶を行いました。

スーツを着ている男性(渡邉茂一さん)渡邉茂一さんがマイクで話している。

「今日はVRや3Dプリンティング、生成AIに触れる貴重な機会だったと思います。それに加えて、STEAM分野で活躍されている女性との交流は、皆さんの心のなかに大切な何かを残してくれたのではないでしょうか。今日のようなイベントで得られる経験が将来のキャリア形成に役立つこと、皆さんの可能性をさらに広げることを願っています」(渡邊さん)


参加したことが新しい技術や働く未来を考えるきっかけに

参加した皆さんに今日の感想を聞いてみると、笑顔でこう話してくれました。

「VRや3Dプリンターに興味があって参加しました。今まで世界で活躍する女性に会ったことがなかったので、バレリーさんやAWSの社員の方、せきぐちさんのお話を聞いて、とても励まされました。将来の選択肢が増えたと思います」(中学2年生)

「今日のイベントは、学校で勧められて参加したので、実はあまり興味がありませんでした。でも、体験してみたら、楽しかったです。特にVRで絵を描くのは、初めての経験でした」(中学2年生)

「女性の権利や働くことの意味を考える機会になりました。STEAMの分野も先輩の女性たちが道を切り拓いてきたんだなと実感しました」(高校1年生)

AmazonそしてAWS、アマゾン データ サービス(ADS)は、今後も若い世代が理工系分野への関心を高める活動を続けていきます。AWSでは若年層向けのSTEAMおよびデジタルスキル支援習得プログラムもご提供しています。ぜひご参加ください。


Girl’s Tech Dayとは?

AWS(アマゾン ウェブ サービス)が世界的に展開する活動の1つで、女の子たちに「STEAM」と総称される科学、技術、工学、芸術、数学などの世界に楽しみながら触れてもらい、進路や将来のキャリアを含め、選択肢の可能性を広げてもらうことを目的にしたイベントです。詳しくはGirl’s Tech Dayについて(英語)をご覧ください。

STEAMとは?

Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の総称で、それぞれの頭文字をとってSTEAM(スチーム)と呼ばれています。

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