創作した絵本『よこいしょういちさん』をコピーして、地元の学校や図書館に約800冊を寄贈していた愛知県の主婦・亀山永子さん。昨年このブログDay Oneで『平和への思いを込め憧れの絵本作家に』として、亀山さんが横井庄一さんの生涯を絵本にまとめAmazonのプリントオンデマンド(POD)を活用して出版した経緯をご紹介した。今年6月にその本が、愛知県の出版社からハードカバーで出版され、念願だった夢を実現した亀山さんに、あらためてお話をうかがった。

憧れのハードカバーの絵本を出版

「Amazonのプリントオンデマンドで出版することができ、絵本を手作りすることから解放され、愛知県外の方にもご購入いただくことができました。また昨年Amazonのブログで紹介されたことで、より多くの方に作品を知っていただける機会になり大変うれしかったです。その一方で、絵本の原稿ができ上り横井庄一さんの奥様の美保子さんにごあいさつに伺ったときに、『出版社から本が出るといいわね』と言われていたこともあり、ずっとハードカバーの本を出したいと考えていました。絵本が完成したときには『この絵本を全国の図書館に置いてもらう』という約束を美保子さんとしていました」

亀山さんは、絵本の原稿を、いくつかの出版社に送ったが、返事はもらえなかった。そこで印刷屋さんにハードカバーの絵本を作ってもらい、図書館に寄贈しようと考え、出版や印刷について詳しい人物にアドバイスをもらおうと、名前だけ知っていた名古屋にある出版社を訪ねた。

「わたしは出版に関して何も知らないので、図書館に置いてもらえる仕様のハードカバーの本を作るには何が必要なのかなどを尋ねていくうちに、出版社の社長さんが『横井さんは地元にとって大切な人物。うちで出版してみませんか』と言ってくださったんです。その後数か月経ってから、本当にハードカバーで出版してくださると連絡をいただき、本当にうれしかったです」

憧れのハードカバーの絵本を出版

出版が確定後、横井美保子さんに報告に行くと、自分のことのように喜んでくれた。そして今まで、ひとつひとつ手作りで絵本を作り続けてきた、亀山さんの苦労を知っているご主人やお嬢さんたちも一緒に喜んでくれた。

「美保子さんとの約束がひとつ果たせて、ほっとしましたし、本当に良かったと思っています。書店などでも手に取って読んでいただく機会が増えると思うと、わくわくします。あとはこの絵本を全国の図書館に置いてもらい、長く読み継いでもらうという約束を果たすことが目標です。横井さんの体験を一人でも多くの方に知っていただき、戦争について考える機会になればと思います」

今後も亀山さんは、戦争について学びながら語り継がれるように、これから新作にも少しずつ取り組んでいく。

亀山永子さんの著書『よこいしょういちさん』はこちら

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