アマゾン ウェブ サービス(AWS)でどんなことができるのかを知りたい時、ニューヨーク・マンハッタンにあるAmazonのオフィス内AWS Builder Studioを訪れれば、その答えが見つかります。

この8000平方フィート(約743㎡)のスタジオは招待制で、ショールーム、コラボレーションスペース、プロトタイピングラボの3つのエリアに分かれています。Builder Studioでは、AWSのお客様やビルダーは「可能性の芸術(art of the possible)」を体験して、生成AIを始めとするAWSのテクノロジーのさまざまな活用方法を学ぶことができます。

木材で作られた壁に、定規、三角定規、鉛筆を含むロゴが描かれ、そのロゴの右側に「AWS Builder Studio」と書かれている。その壁の後ろには、会議室にいる人が見える
写真:Hollis Johnson

ニューヨーク市のAWS Builder Studioは、全米でわずか2か所しかないスタジオの1つです。もう1つのスタジオはカリフォルニア州サンタクララにあり、自動運転車両のプロトタイピングを専用としています。

お客様はAWS上で構築されたインタラクティブなさまざまな製品やツールをチェックした後、独自のプロトタイプの製作を開始することができます。Amazonのプロトタイピングおよびクラウドエンジニアリング(PACE)チームは、具体的なビジネス目標から逆算してプロトタイプを共同で構築し、目標の達成を支援します。

例えば、SaaSログ分析のリーダーであるSumo Logic社は、PACEの協力を得て、AWSのサービスやAIモデルを活用してセキュリティに対する改善アドバイスの作成を自動化しています。Sumo Logicの事例は、生成AIを利用したクラウド上のAIや機械学習画期的な可能性を占める一例となっています。

広い部屋に数台のスクリーンが引き出しの上に置かれている。カウンターと壁にも数台のスクリーンが置かれている。そのスクリーンにはスニーカーなど、様々なものが表示されている
写真:Hollis Johnson

Builder Studioの中心であるイノベーション・ショールームには、実際に触れられるハンズオン・デモが12以上、展示されています。興味深いデモを少し詳しく見てみましょう。


不気味なほどリアルな人物やオブジェクトのホログラム

正面ドアから中に入ると、最初に目に入るのは訪問者を歓迎するために設置された約2メートルの大きなディスプレイです。ディスプレイの中には、プロトタイピングチームのシニアマネージャーであるハイディ・バックのホログラムがあり、訪問客に個人的なあいさつをします。

左側の画像には大きなスクリーンに立体的なモナリザの絵画が浮かんでいるように表示されている。右の画像にも同じスクリーンに腕時計が立体的に表示されている。
写真:Hollis Johnson

このホログラム装置「Proto Epic」は、非常に鮮明な実物大の映像を提供します。正面に立つと、手をのばせば目の前に浮かぶ物体や人物に触れられそうなほどです。Protoはライブコンサートや販売キャンペーン、プレゼンテーション、交通用ディスプレイ等に活用できます。


生成AIで独自の芸術作品を製作

生成AIは画像の作成方法と高品質化に革命を起こしました。AWS Amplify SageMaker のJumpstartモデル(Stability.AI、HuggingFace)など、AWSの複数のサービスや基盤モデルを背景で機能させたこのデモは、最小限のプロンプトの入力とインフラストラクチャを設定するだけで、驚くほど素晴らしいアート作品を簡単に作り出せることを紹介しています。

壁に掛けられた大きなスクリーンに港の景色の模型が表示されている。そのスクリーンの前に紙の長い女性が座っている
写真:Hollis Johnson

画面を何度かクリックするだけで、港の海賊船と商人という映画の1シーンのような画像を作成することができました。デモでは私のために、テーマに合わせたこんな「俳句」まで作ってくれました。

Sail ships glide in/Merchants trade at English port/Dreams drift with the tide
(滑るよう英国港に入る帆船 商人の夢ぞ 潮とたゆたう)


テーブルサッカーでゲームをレベルアップ

スタジオツアーの中で一番人気があるのが、フーズボール(テーブルサッカー)が体験できるテーブルです。

左の画像は、棒を回転させて球をけるフットボールゲームを操作している人。右の画像には「02」と「00」が表示されているスクリーンの前に置かれているフットボールゲーム
写真:Hollis Johnson

ペースの速いゲームで対戦相手と真っ向勝負する中で、IoTの赤外線センサーがゴールやアシストなどのゲームスタッツを追跡すると同時に、上方からカメラで記録します。試合後、プレーヤーは自分のパフォーマンスを確認し、改善ポイントを評価したり、AIで生成された解説を聞くことができます。


ロボットから完ぺきなコールドブリュー・コーヒーを受け取る

このマシンがあれば、コーヒーの味が毎回変わるようなことはなくなります。好みのコールドブリューをタップすると、ロボットアームがディスペンサーのラインに沿ってスムーズに動き、ほんの数秒であなたのカップにコーヒーを注いでくれます。

小さい画面にアイスコーヒーのフレーバーオプションが表示されている。そのスクリーンをクリックする手が見える。
写真:Hollis Johnson
ロボットの手がプラスチックのコップを持って、3つ並んでいるコーヒーサーバーの下に置いている
写真:Hollis Johnson
口ひげを生やしている男性がコーヒーロボットのような機械の隣に立っている。
写真:Hollis Johnson

抽出されたコーヒーの品質分析にはコンピュータビジョンが利用され、インジケーターでタップごとにどれだけのコーヒーが注がれたか、1日で何杯のコーヒーを淹れたのか、また1杯当たりの所要時間などを追跡します。そして、すべての情報はAWSに送信されるため、ユーザーはダッシュボードを構築して、他の人がどこからでもロボットアームの状態やデータをモニターできるようになります。


Amazonフルフィルメントセンターでの注文のピックアップを体験

Amazonのフルフィルメントセンター(物流拠点)ではどのような作業が行われているのか、興味のある人には、絶好のチャンスです。

CGで作られた黄色の棚がある様子がAmazonの倉庫の様子がパソコンの画面に表示されている。ゴーグルをかけている女性がコントローラーを持ち、その画面に向かっている
写真:Hollis Johnson

VR(仮想現実)ヘッドセットを装着すると、Amazonロボティクスが導入されたフルフィルメントセンターの半自動ワークステーションに瞬間移動し、コントローラを使って商品をピックアップした後、移動させることができます。このシミュレーションは、Amazonのフルフィルメントセンターに配属される前に、安全で制御された環境で商品をピックアップする担当者をトレーニングするために開発されました。

Amazonのワールドワイドデザインおよびエンジニアリング部門では、このようなVRシミュレーションとモーショントラッキングツールを使って、ワークステーションの設計オプションを比較し、タスクを実行中の人の動きを分析して、人間工学的な改善の機械を見つけます。


バーチャル・プロダクション・エンターテインメントセンターで、アクションシーンに参加

このデモはあなたをサーキットに連れて行ってくれます。あなたのレーサーとしての腕前を発揮しましょう。AWSのテクノロジーは、同期取得を利用して視覚効果処理を効率化し、撮影した画像に直接、効果をつけることができるため、プロダクションセットで緑色のスクリーンを使ったり、キャラクターや生き物の代わりに棒の先にテニスボールをつけたりする必要がありません。

4台の大きいスクリーンに囲まれている女性がレースカーの構造のような席に座っている
写真:Hollis Johnson
パソコン1台とモニター2台が机の上に置かれている。左にあるモニターには赤い車にAWSのロゴが書かれている。1人の手がそのモニターの中の赤い車に白い線を描いている。
写真:Hollis Johnson

カメラは、撮影が終わるとすぐにすべてのコンテンツをAWSのオブジェクトストレージサービスであるS3にアップロードするよう設計されています。視覚効果やストレージ、編集、仕上げ作業まで、映画やTV番組の製作に必要なすべてのワークロードを相互接続できるため、制作からポストプロダクションまでのプロセスがより効率的になり、同じプロジェクトに取り組むチームのグローバルな協力が容易になります。


靴を購入する前に、自分に似合うかどうか確かめてみる

左側の写真にはモニター2つがあり、左のモニターには着ている靴の見た目が表示されている。その右側の画像には同じ見た目が携帯に表示されている。
写真:Hollis Johnson

新しく購入する品物が自分にぴったりかどうか自信を持って購入するためには、実のところ、本当に身に付けてみる以外に手はありません。ファッションアイテムや化粧品を注文する前に、色違いや別のスタイルの商品との比較をシームレスに行えるようにするために、Amazonショッピングアプリで利用できるAmazonの拡張現実(AR)機能が役立ちます(日本ではARビューショールームなどが使用できます)。

スタジオでは、Virtual Try-Onがスニーカーの購入時に簡単に利用できることが実感できます。これはAmazonのショッピング体験を向上させるためのほんの一例です。


生成AIを使って数秒でクリエイティブやキャンペーンを作成

Amazon BedrockStable Diffusion、さらにAnthropic AIのClaudeモデルによって実現したこのデモは、これまで何か月もかけて制作していた広告アセットの作業工程を短縮します。「ニューヨーカー向けの寿司」というプロンプトを入力すると、複数の画像やカラースキーム、フォント、音声などが生成され、総合的な広告キャンペーンを開始するためのキャッチコピーまで生成することができます。

モニターの画面にWebサイトのような操作画面が表示され、その中に様々な寿司の写真が表示されている。各写真の右上に変更を表す矢印マークがついている
写真:Hollis Johnson

環境からのライブデータ検索

このタッチテーブルには、いわゆるデジタルツインが搭載されており、インタラクティブなアプリケーションを使って実際の既存施設の3Dモデルにデータを重ね合わせることができます。このテーブルでは室内に設置されたすべてのデモから、湿度や気温、訪問者数、滞留時間などIoTセンサーのデータが取り込まれ、部屋のモデルに重ねて表示することで、お客様がスタジオ内を自由に移動しながらライブデータを探索できるようになっています。

画面に表示されているオフィス空間の立体的な平面図。各部屋の温度と湿度がポップアップして表示されている
写真:Hollis Johnson
灰色のセーターを着ている男性が机の隣に立っている。彼の後ろにある大きなモニターには、大きな建物のパースが描かれている
写真:Hollis Johnson

このデモを構築した空間コンピューティングソリューションのシニアアーキテクト、アダム・チェルニック(Adam Chernick)さんは次のように話します。

「プロトタイピングの一番の楽しさは、二度と同じ課題に取り組むことがない点です。お客様やAWSチームと協力して、課題から逆算して解決策を組み立てていくのが大好きです。新しいテクノロジーをうまく取り入れていくこと自体、いつも非常に楽しい時間になります」

Amazonのオフィスには、多様性と働きやすさを重視し、インスピレーションを与え、コラボレーションを活発にするデザインが数多く取り入れられています。今回は東京にあるAmazon目黒オフィスの中で3番目にオープンした、目黒セントラルスクエアオフィスをご紹介します。

配送ドライバーによる電動バンの充電方法

Amazonはアメリカで2030年までに10万台以上の電気配送車を配備することを計画しています。計画を効果的に展開していくためにはスマートな充電ステーションが不可欠です。カスタマーソリューション担当マネージャーで、スタジオのツアーガイドを務めるサム・ヨウ(Sam You)さんが、従業員は配送車両をドッキングさせた後、このマシンで自分のバッジをスキャンすれば、シフトが終了するのだと説明してくれました。

オレンジ色のカードリーダーに白いカードをかざしている手。その隣の大きなモニターにmy EV charges security and at scale?の文字が表示されている
写真:Hollis Johnson

システムは従業員の翌日の運転距離を正確に把握しており、その情報に従って充電が行われます。また、電力グリッドの変動に合わせて、最適な電気料金で効率的に充電できるタイミングもわかっています。

 「ツアーでは、他の企業がAWSのサービスを使って何を構築したかをお客様に見ていただくことで、Amazonが生成AIやサステナビリティなどにどのような戦略投資を行っているのかを説明することができます。ここでツアーガイドを行う醍醐味は、ブラジルの小売企業からスウェーデンのSaaS企業まで、多種多様なお客様に会うことができる点です」とヨウさんは話しています。

AWS Builder Studioの詳細および訪問方法について詳しくはこちら

この記事は2024年3月18日にアメリカ版About Amazonで公開された記事を翻訳したものです。

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