Amazonはラストワンマイル配送とドライバーの働き方に関わる施策の拡大に、2024年は従来の投資額に追加して、さらに250億円以上を投資することを第10回Amazon Academyで発表しました。

Amazonは、高い安全性、信頼性と先進性、そして革新性を持つ物流・配送ネットワークの構築のために、ここ数年間で毎年、数千億円以上の投資を行ってきました。2024年も同等額の投資を行うとともに、ラストワンマイル配送ネットワークの構築の強化を目的に2024年はさらに、250億円以上を追加で投資します。

Amazon Academy の基調講演とパネルディスカッションについてはこちら


Amazonによる2024年の日本への投資の4つの重点分野

配送ネットワークの拡大

Amazonは、配送拠点であるデリバリーステーションを通して、日本で何百万もの商品をお客様に迅速にお届けしています。今回の追加投資によってこの配送ネットワークを拡大します。

Amazonのデリバリーステーションは、お客様からご注文いただいた商品を日本国内に25拠点以上ある物流拠点のフルフィルメントセンターから集約し、周辺地域のお客様の玄関先までお届けするAmazonのラストワンマイルの起点となる場所です。2023年は11の配送拠点を開設し、現在Amazonは日本全国に50拠点以上のデリバリーステーションを設けています。この配送ネットワークにより、700万点以上の商品を47都道府県すべてのお客様に翌日にお届けすることができるようになりました。

デリバリーステーションへの投資によって、Amazonは置き配の提供を拡大できるようになり、お客様の利便性を向上させると同時に、ドライバーの再配達を削減できるようになります。また、Amazonはデリバリーステーションにおいて、多様でやりがいのある働く機会を提供しています。職場の安全衛生管理者、ステーションマネージャー、シフトアシスタントなど職種は多岐に渡ります。


ドライバーのウェルビーイング向上と安全対策

Amazonにとって、配送パートナーと地域社会の安全は最優先事項です。今後も、配送をより安全にするためのテクノロジーやプログラムへの投資を続けていきます。これまでに、交通量の多い都市部での配送や、荷物の扱い方について人間工学に基づいた技術的な安全対策を講じるトレーニングを実施しているほか、安全についての専門家をデリバリーステーションに招き、そこで働く人々やドライバーを対象に、業務上での安全性に関わる知識を伝える機会を提供してきました。

個人事業主として商品を配達するAmazon Flexの配送パートナーには、商品を安全に配達していただけるようさまざまなツール、トレーニングの提供を継続していきます。さらに、今年7月から9月まで、Amazon FlexドライバーとAmazon Hubデリバリーパートナーの皆さんに水分補給していただくために、無料のドリンククーポンの提供を開始しました。


再配達の削減

Amazonは、2020年に日本で業界初となる「置き配指定サービス」を開始し、現在は日本全国でAmazonの商品の置き配の利用率は80%以上に達しています。

また、自宅外でも商品の受け取りを可能にするAmazonロッカーは、4,000台以上が全国47都道府県に設置されています。そしてAmazonロッカーとAmazonカウンターを合わせた「Amazon自宅外受け取り」は、40,000か所以上に上ります。

オートロックのマンションでも置き配を可能にするAmazon Keyにより、ドライバーはお客様がご不在や忙しい時でも商品を配達できるため、再配達削減に役立ちます。Amazon Keyのサービスに登録しているマンション数は現在、全国20都道府県1万棟以上に拡大しています。


配送プログラムの拡大

新たなデリバリーステーションの開設に伴い、Amazon FlexAmazon Hubデリバリー、デリバリーサービスパートナーなどの、ラストワンマイル配送に携わる各種プログラムをさらに充実させていきます。

また、Amazonの物流・配送オペレーションに関する知見を活かし、デリバリーサービスパートナーのプログラムを通して、配送事業の起業を目指す人たちを支援し、配送事業の成長を支援します。


第10回 Amazon Academy 基調講演とパネルディスカッション

今回のAmazon Academyでは、国土交通省 物流・自動車局物流政策課長 紺野博行氏、東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻 教授 二村真理子氏による基調講演のほか、「ラストワンマイル配送」に関わる企業や配送パートナーの企業の方をお招きして、パネルディスカッションを実施しました。ラストワンマイル配送における各社の取り組みやテクノロジーを駆使したプログラム、ドライバーのウェルビーイング向上のためにできること、そのために必要なイノベーションとは何か、など日本のラストワンマイル配送の未来について考察しました。

国土交通省 物流・自動車局物流政策課長 紺野博行氏は、基調講演「2024年を『物流革新元年』を通して、以下のようにコメントしました。

「2024年問題に直面している今、何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性があります。荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して日本の物流を支えるための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について対策を推進していく必要があります。生活者の皆様においては、『再配達削減』のために、宅配便を利用するときに置き配や宅配ロッカーなど物流負荷の低い受け取り方法を選択することで、再配達にかかるドライバーの省力化や、再配達のトラックから出るCO2の削減につなげることができます」

黒いジャケットに紺色のネクタイを着ている男性がヘッドセットをつけ話している(紺野博行氏)
国土交通省 物流・自動車局物流政策課長 紺野博行氏

東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻 教授 二村真理子氏は、基調講演「消費者とともに取り組む物流2024年問題」を通して、以下のように語りました。

「持続可能な物流に向けた対応方針として、特にトラックドライバーを増やす努力と、トラックによる輸送の効率化が挙げられます。ドライバーを増やすためには、収入面、労働時間、働きやすさなど労働条件を改善し、ドライバーのウェルビーイングを向上させることが必要です。また物流業界を魅力的な働く環境として発信し、若年層から高齢者まで幅広い世代、女性も含めたの多様な人材の活用を推進していくことが重要です」

フリルのついた白いブラウスとグレーのジャケットを着た女性がヘッドセットをつけて話している(二村真理子氏)
東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 経済学専攻 教授 二村真理子氏

Amazon Academyの後半では、アマゾンジャパン配送事業部門 シニアマネージャー 河合麻衣子のファシリテートのもと、「ラストワンマイル配送」に関わる企業や配送パートナーの企業の方々によるパネルディスカッションが行われました。

株式会社イー・ロジット 代表取締役会長 角井亮一氏、ENEOS株式会社 執行理事 プラットフォーマー事業部長 小池 泰弘氏、株式会社Passion monster 代表取締役社長 高山芽衣氏および三井不動産レジデンシャルリース株式会社 経営企画部長 中村 誠氏が意見を交わしました。

モノクローム服を着ている男性3人と女性2人が話し合いながら座って並んでいる。上には「Amazon Academy」のロゴが壁に貼られている。

オートロック付きマンションでの受け取りを便利にするAmazon Key(アマゾン・キー)は、2021年にサービスを開始しました。

Amazon Keyについて、協業している三井不動産レジデンシャルリースの中村氏は、「賃貸マンションご入居者様の利便性とセキュリティを両立できる解決策として、2023年からAmazon Keyを導入しました。その後、多くのマンションご所有者様・ご入居者様にご理解いただき、順調に導入数を拡大しています。今後もさらに導入を進め、多様な商品の受け取り方が選択できる環境を提供していきたいと考えています。また、ライフスタイルやニーズの変化、テクノロジーの進化などにより、さらに多様な手段が登場していくことも想定し、時代に合わせた新たな取り組みを継続し、ご入居者様・ドライバーさん双方の利便性向上と持続可能な環境整備に寄与していきたいです」と話しました。

メガネをして、紺色のジャケットを着た男性が話している(中村 誠氏)
三井不動産レジデンシャルリース株式会社 経営企画部長 中村 誠氏

物流全般のコンサルティングを行うイー・ロジット 角井氏は、「宅配ブルーという言葉があります。これは、重たい商品を持って行っても届けられないという宅配側がブルーな気持ちになることと、配達される側も受け取れなかったとブルーな気持ちになることを指します。置き配が本格的に始まってからは『こんなに置き配がよかったのか』という声が増え、『置き配でないと自分は宅配を頼みません』という人もずいぶん増えました。置き配により、配達する側、受け取る側の双方の宅配ブルーが解消されたと思います」と語りました。

右手のてのひらを上に向けているジェスチャーしている男性が右側に向かって話しかけている。彼は白いTシャツにグレーのジャケットを着ている(角井亮一氏)
株式会社イー・ロジット 代表取締役会長 角井亮一氏

 ガソリンスタンドの活用した事業に取り組むENEOSの小池氏は、ドライバーの働きやすい環境づくりについて次のように語りました。

「ドライバーの皆さんを大切にすることはENEOSのDNAに根付いています。ENEOSは、これまでの活動にラストワンマイルをプラスするという考えを持っており、これまでもドライバーの負荷軽減、ウェルビーイングに対する取り組みを行ってきました。また、三菱商事さんとの合弁で会社を立ち上げ、宅配商品の一時保管や、ラストワンマイルの配送拠点としてガソリンスタンドを活用するサービスを昨年から開始しました。その派生形で、ドライバーさんの休憩場所や、EVの急速充電、車のメンテナンスなど、ドライバーさんが働くうえで必要になることを用意していきたいとも考えています」

メガネをかけたグレーのジャケットを着た男性
ENEOS株式会社 執行理事 プラットフォーマー事業部長 小池泰弘氏

Passion monsterの高山氏は、ドライバーの働きやすい環境づくりの重要性について次のように話しました。

「ドライバー自身が誇りをもって働くことが大切です。ドライバーの業務はやりがいのある仕事なのに、過小評価されていると思います。私自身、この業界に昨年から携わり、とても志の高い方や今までに出会ったことのないくらい優秀な方と出会ってきました。今後は、さらに働きやすい環境を作って、外国籍の方や女性を含めて多様な人材を迎えて、誰もが憧れる業界と言えるようにしたいです」

後ろに結んだ髪型をしている黒いブラウスを着ている女性が右に向かって、ヘッドセットマイクで話している(高山芽衣氏)
株式会社Passion monster 代表取締役社長 高山芽衣氏

 今回のAmazon Academyを通して、業界の枠を超えて、ドライバーの負荷軽減に取り組む意義と今後の可能性を再認識しました。ドライバーが働きやすい選択肢の提供と環境整備、企業間のさらなる連携の広がりは、ラストワンマイルの持続可能性において大きなカギとなりそうです。

第10回Amazon Academyの全編はこちらからご覧いただけます。

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